板金屋根の施工技術

板金屋根は、見えない工程で品質が決まります

合同会社インハート 代表の綾野は、
前職時代に住宅の板金屋根を多数施工してきました。
当時の施工現場で記録した写真をもとに、
板金屋根の工事がどのような工程で行われ、
どこで品質が決まるのかをご紹介します。

これからインハートが取り組む「旧耐震住宅の屋根葺き替え」も、
本質的には同じ施工技術が必要です。
このページが、私たちの技術への信頼の一助となれば幸いです。

お読みいただく前に

※掲載写真はすべて代表が前職時代に施工担当した新築住宅の事例です。
個人情報の特定につながる要素は写っていない、または加工で削除しています。

なぜ「屋根の品質」が、住宅の寿命を左右するのか

屋根は、住宅にとって「最初に天候の影響を受ける部位」です。
板金屋根は適切に施工されれば30〜40年の耐久性が期待できますが、
逆に、見えない工程で手を抜けば、
5〜10年で雨漏りや剥がれが発生することもあります。

特に板金屋根の場合、施工の良し悪しは
「葺き上がった後の見た目」では判断できません。
本当に大切なのは、屋根の下に隠れる
下地・防水・固定方法といった、
完成後には誰にも見えなくなる部分の丁寧さです。

だからこそ、私たちは「資格者が現場に立つ」という体制を変えません。
施工管理技士・建築士の目で、
見えない部分まで責任を持って仕上げます。

工程1:下地確認・野地板の施工

垂木に野地板を張っていく作業。プレカットされた野地板を、屋根の形状にあわせて並べていきます。
野地板を張り終わった状態。この後のすべての工程の土台となる、最も重要な下地です。

板金屋根の施工は、屋根材を載せる「下地」が
すべての前提です。

新築工事では、設計通りにプレカットされた野地板を、
垂木の上に正確に張っていきます。
野地板の張り方ひとつで、その後の防水・板金の精度が決まります。

一方、旧耐震住宅の葺き替え工事では、
既存の瓦を撤去した後、
野地板の傷み・垂木の状態・断熱材の有無
確認することが重要な工程になります。

築年数の長い住宅では、雨漏りで野地板の一部が傷んでいたり、
釘の効きが甘くなっていることがあります。
ここで下地の補修や張り替えが必要かを見極めるのは、
建築士・施工管理技士の専門領域です。

「ここが甘いと、どんなに良い板金材を載せても寿命が短くなる」
というのが、私たちの現場経験からの実感です。
だからこそ、下地工程は決して妥協できません。

工程2:防水層(ルーフィング)の施工

野地板の上にルーフィング(防水紙)を張っていく作業。雨漏りを防ぐため、隙間なく、丁寧に張っていきます。
ルーフィングは屋根の「最後の砦」です。板金の下で見えなくなる部分こそ、慎重な施工が求められます。

ルーフィング(防水紙)は、板金屋根の防水性能を支える「最後の砦」です。
板金材自体にも防水性はありますが、長年の温度変化・経年劣化で
板金のつなぎ目から水が浸入することがあります。
そのとき、ルーフィングが屋根の中に水を入れない役割を果たします。

ルーフィングの施工では、特に以下の3点が品質を分けます。

  • 重ね幅を100mm以上しっかり取ること
  • 釘・タッカーの打ち方が均一であること
  • 棟・谷・ケラバ等の端部処理が丁寧であること

新築でも葺き替えでも、ここの精度は変わりません。
むしろ、葺き替え工事の方が下地の状態が複雑なため、
ルーフィングの慎重な施工が求められます。

工程3:板金加工(現場板金)

屋根の長さに合わせて板金を1枚ずつカットしていきます。何枚もあるので意外と大変な工程です。
カットした板金を整然と並べて、次の取付工程に備えます。段取りの良し悪しが、後工程の品質に直結します。

屋根に載せる板金材(ガルバリウム鋼板など)は、
工場で製品化されたものをそのまま使うわけではありません。
屋根の形状・寸法に合わせて、現場で加工する必要があります。

特に難しいのは、棟(屋根のてっぺん)・谷(屋根の谷部)・
ケラバ(屋根の端)などの「役物(やくもの)」と呼ばれる部分です。
これらは複雑な形状をしているため、
現場での採寸・折り曲げ・カットの技術が品質を左右します。

1枚あたりの作業は単純に見えても、屋根全体では数十枚〜数百枚を扱います。
1枚1枚の精度を維持しながら、全体の段取りを管理することが、
職人としての腕の見せどころです。

工場加工と現場加工のバランスをどう取るかは、
板金職人の経験値が問われる部分です。
私たちは、現場で必要な加工を惜しまず、
雨仕舞い(あまじまい)の精度を最優先します。

工程4:板金の取付・葺き上げ

板金のハゼ(継ぎ目)を専用工具でしっかり掴んで固定します。台風時に風で飛ばされないよう、確実に掴むことが要点です。

板金材を屋根に固定し、軒先(屋根の端)から棟へ向かって
順番に葺き上げていく工程です。

板金屋根の特徴は、隣り合う板金の縁を折り曲げて噛み合わせる
「ハゼ」と呼ばれる継ぎ目構造です。
このハゼを専用工具でしっかり掴んで密着させることで、
雨水の侵入を防ぎ、強風時の浮き上がりを抑えます。

ここで重要なのは、以下の3点です。

  • 軒先から棟への順序を守ること(水の流れに逆らわない)
  • 嵌合(かんごう)部の処理を丁寧に行うこと(板金同士の継ぎ目)
  • 固定金具の打ち込み位置と数を正確に守ること(台風時の浮き・剥がれ防止)

特に最後の「固定」は、台風シーズンに性能差が出る部分です。
釘やビスを打つ位置がずれると、板金が浮いて剥がれの原因になります。

広島は台風の通り道にもなる地域ですから、
ここの施工精度は決して妥協できません。
「風で飛ばされない」という当たり前のことを、
当たり前にやり切ることが、職人の責任だと考えています。

工程5:仕上げ・最終確認

完成した板金屋根。作業中についた足跡は、お引き渡し前にすべて丁寧に拭き取ります。

最後に、棟包み(屋根のてっぺん)・雨仕舞い(あまじまい)・
付帯部の仕上げを行い、屋根全体を整えていきます。
ここでようやく、外から見える「美しい板金屋根」の姿が現れます。

ただし、見た目の美しさだけでなく、
以下の最終確認を必ず行います。

  • 板金の浮き・歪みがないか
  • 棟包みの納まりに隙間がないか
  • 換気棟(屋根換気)が正しく機能するか
  • 雨樋・破風板との取り合いに問題がないか

そして、施工中に屋根についた足跡や汚れは、
お引き渡し前にすべて丁寧に拭き取ります。
細部への配慮こそが、職人としての矜持です。

新築でも葺き替えでも、この最終チェックを怠りません。
お引き渡し時には、私自身が現場で最終確認を行い、
「ご家族に責任を持ってお渡しできる状態」であることを
確かめてから完了とします。

「新築」と「葺き替え」で、何が同じで、何が違うのか

本ページの写真は、すべて前職時代に施工した「新築住宅」の事例です。
一方、合同会社インハートがこれから取り組むのは、
「旧耐震住宅の葺き替え工事」です。

それでは、新築と葺き替えで、施工技術はどう変わるのか。
透明性のために、整理してお伝えします。

同じこと(本質的には変わらない部分)

  • 板金材の加工技術(現場での切断・折り曲げ・採寸)
  • ルーフィング(防水)の施工方法
  • 板金の固定方法・嵌合(ハゼ)処理
  • 棟包み・雨仕舞い等の役物加工
  • 最終確認のチェックポイント

違うこと(葺き替えに特有の工程)

  • 既存瓦の撤去(産業廃棄物としての処理が必要)
  • 既存下地の状態確認と補修(野地板の傷み・垂木の補強)
  • 施主在宅での工事(生活への配慮・養生範囲が拡大)
  • 荷揚げ・搬入経路の確保(住宅密集地での工夫)
  • 工期の調整(雨天順延・施主の生活リズムへの配慮)

新築の板金屋根を担当してきた経験は、
葺き替え工事の品質をそのまま支えます。

そして、葺き替え工事に特有の配慮も、
建築士・施工管理技士としての知識でカバーします。

このような考え方で、合同会社インハートは
広島市・東広島市の旧耐震住宅の屋根葺き替えに取り組んでいきます。

代表からのメッセージ

現場の手元から離れません

私は、現場の手元から離れた経営者にはなりません。

板金屋根の施工は、見えない工程で品質が決まる仕事です。
だからこそ、私自身が診断から施工管理まで担当します。
将来事業が拡大しても、有資格者が現場に立つ体制は変えません。

ご家族の暮らしを守る屋根を、責任を持ってお引き受けします。

合同会社インハート 代表
綾野 利郎

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