※この記事は、合同会社インハート 代表(二級建築士・二級施工管理技士)が解説しています。法令・制度・費用の記述は 2026年9月時点 のもので、最新の内容は必ず公式ページでご確認ください。なお、建築物の石綿(アスベスト)の事前調査は、原則として建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行います。私自身はその資格を持たず、個別の建材について含有の判断は行いません(詳しくは本文で説明します)。
✅ この記事の結論(先にお伝えします)
- 見積書の「石綿事前調査費 別途」は、調査が要らないという意味ではありません。ただし、対象・内訳・追加になる条件が分からないまま承諾する必要もありません。
- 確認したいのは「調査をするかどうか」ではなく、①どの部位・建材を調べるのか ②費用が何で増減するのか ③結果をいつ・どの書面で説明してもらえるのか の3点です。
- 「100万円」は行政への報告が必要になる線であって、調査そのものが必要になる線ではありません。 事前調査・調査者の資格・行政への報告・レベル1と2の届出・補助制度は、それぞれ別の基準で決まります。
- 発注者(お施主様)が確認できるものが3つあります。着工前の説明書面、工事中の現場の掲示、そして石綿含有建材を扱う工事だった場合の完了後の報告書面です。
- 規模要件に該当する工事では、元請業者または自主施工者が、広島市長または東広島市長へ調査結果を報告します(広島市は環境局環境保全課、東広島市は生活衛生課)。制度の確認は行政の窓口が確実です(2026年9月時点)。
屋根の葺き替えやカバー工法の見積書を並べていて、末尾のほうに小さく「石綿(アスベスト)事前調査費 別途」とだけ書かれているのを見つけた——。金額の欄が空欄だったり、「※実費」とだけ書かれていたりすると、いくらかかるのか、そもそも何のための費用なのかが分かりません。
「石綿事前調査費」は、法令上必要となる事前調査に関する費用です。一方で、これを見積本体に含めるか「別途」と表示するかは見積書の作り方であって、法律が「別途」という表示を求めているわけではありません。調査の範囲・内訳・追加になる条件が分からないまま契約する必要はありません。
この記事では、その「別途」の中身を、大気汚染防止法の条文と、広島市・東広島市の公式資料をもとに整理します。工法そのものの選び方は屋根のカバー工法と葺き替え、どちらを選ぶ?向く屋根・向かない屋根を二級建築士が比較【広島市・東広島市】、葺き替え本体の費用と工程は瓦屋根の葺き替え費用はいくら?工事の流れ・工期・耐震との関係を建築士が解説【広島市・東広島市】で扱っています。
見積書の「別途」は、調査が要らないという意味ではありません
まず、言葉の整理からです。見積書の「別途」は一般に、この見積金額には含まれていないという意味で使われます。石綿事前調査費が「別途」に置かれるのは、調査してみないと金額が決まらない部分があるからです。
調査そのものは、工事の規模で免除されるものではありません。厚生労働省は、施工業者(元請事業者)について次のように示しています。
施工業者(元請事業者)は、原則、工事の規模・種類にかかわらず改修等の対象箇所すべての材料に対し、事前調査を行う必要があります。
(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「小規模工事等の着工前に必要な手続きについて」、2026年9月9日確認)
広島市も、報告の規模要件を説明したうえで、こう付け加えています。
なお、事前調査そのものは、報告対象の規模要件によらずすべての解体等工事で実施しなければなりませんのでご注意ください。
(広島市「大気汚染防止法 報告・届出様式(アスベスト(石綿)関連)」、2026年9月9日確認)
つまり、「別途」という記載だけでは、必要な手続きが行われるのか、請求額が妥当なのかは判断できません。 調査の範囲・内訳・追加になる条件を確認してから、見積を比べます。
「別途」だけでは分からない3つのこと
| 見積書に「別途」とだけある場合 | 確認すると分かること |
|---|---|
| どこを調べるのか | 屋根材だけか、下葺き材(ルーフィング)や軒天井、外壁との取り合い部まで含むのか。工事する範囲によって対象は変わります |
| 何が費用を増減させるのか | 書面・現地の調査だけで済むのか、材料を採取して分析に出すのか。分析する試料の数で金額が変わります |
| 結果をどう受け取るのか | 調査結果は、着工前に書面で説明されることになっています(後述) |
この3つが分かれば、複数社の見積を同じ条件で比べられるようになります。逆に言えば、金額だけを見比べても、そもそも調べる範囲が違えば比較になりません。
事前調査・報告・届出は、それぞれ別の基準で決まります
「100万円」は、行政への結果報告が必要になる線です。調査そのものが必要になる線ではありません。この2つを1本の線だと考えると、判定を取り違えます。
混同しやすい5つを、判定の基準ごとに分けて整理します(2026年9月時点)。
| 何が問題か | 何で決まるか | 誰がすることか |
|---|---|---|
| ① 事前調査を行うか | 原則として工事の規模・種類によらず必要 | 元請業者(請負契約によらず自分で施工する場合は、その施工者) |
| ② 誰が調査するか | 令和5年(2023年)10月1日以降に着工する建築物の工事では、原則として有資格者による調査が必要 | 元請業者が調査の実施責任を負い、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が調査する |
| ③ 行政へ結果を報告するか | 建築物の改修は請負代金の合計100万円以上、解体は床面積の合計80㎡以上 | 元請業者または自主施工者が、着工前に報告 |
| ④ 作業の届出をするか | 金額ではなく、対象建材の種類と作業内容で決まる(石綿含有の吹付け材・保温材・断熱材・耐火被覆材の除去、封じ込め、囲い込み) | 発注者または自主施工者が、対象作業開始の14日前までに |
| ⑤ 補助制度が使えるか | 制度ごとの対象建材による(広島市の制度は吹付けアスベスト等が対象) | 建物の所有者が、契約前に事前協議 |
②の有資格者として認められるのは、特定建築物石綿含有建材調査者/一般建築物石綿含有建材調査者/一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て住宅等の事前調査に限る)/令和5年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録され、調査を行う時点でも登録されている者の4区分です(厚生労働省、2026年9月9日確認)。
「100万円」の数え方には決まりがあります
③の100万円は、工事のうち石綿に関わる部分だけを取り出した金額ではありません。環境省は次のように示しています。
請負代金の合計額は、材料費も含めた作業全体の請負代金の額をいい、事前調査の費用は含みませんが、消費税を含みます。
(環境省「石綿事前調査結果の報告について」、2026年9月9日確認)
さらに、契約を分けても合算して判定されます。
解体、改造、又は補修の工事を同一の者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で請け負ったものとみなします。(同上)
広島市はもう一段細かく示しています
広島市の説明では、請負代金は「材料費及び解体等工事で生じた廃棄物の収集運搬費及び処理費も含めた作業全体の請負代金の額をいい、事前調査の費用は含みませんが、消費税を含む額」とされています(2026年9月9日確認)。この算定には処分費と消費税も含まれるため、これらを外した税抜の工事費だけで「100万円未満だから」と判断すると、報告の要否を取り違えることがあります。
なお、報告の対象になるかどうかは、石綿が見つかったかどうかとは関係ありません。広島市は報告の対象を「石綿の有無によらず、以下の規模要件のいずれかに該当する場合」としています。石綿が無いという調査結果であっても、規模要件に当たれば報告されます。
④の届出は、屋根の化粧スレートなどレベル3建材だけを扱う工事とは別の手続きです
④の「特定粉じん排出等作業実施届出書」の対象は、石綿含有の吹付け材・保温材・断熱材・耐火被覆材(いわゆるレベル1・2)を除去、封じ込め、または囲い込みする工事です(広島市・東広島市の公表資料、2026年9月9日確認)。住宅屋根に使われてきた化粧スレートなどの成形板は、レベル1・2を対象とするこの届出とは別に扱われます。
ただし、工事の範囲に石綿含有の断熱材・保温材などが含まれる場合は、発注者または自主施工者が対象作業開始の14日前までに届け出ることになっています。屋根だけでなく内部の断熱材や配管の保温材まで触る工事では、対象作業があるかどうかを元請業者と所管の窓口に確認してください。
発注者が担うことと、元請業者が担うこと
石綿事前調査については、元請業者側の義務が大きな部分を占めますが、発注者側にも法律上の役割があります。ここを分けて理解しておくと、見積の話がしやすくなります。
| 発注者(お施主様) | 元請業者 | |
|---|---|---|
| 調査 | 手元にある設計図書や改修履歴を提供して協力する | 書面調査・目視調査を行い、必要に応じて分析する |
| 費用 | 法律上、調査に要する費用を適正に負担し、調査に協力する | 見積上の確認事項として、調査の範囲・内訳・追加になる条件を示す |
| 契約条件 | 石綿含有建材があると分かった工事では、作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮する | 作業基準に沿った方法で施工する |
| 記録 | 説明を受け、書面を受け取る | 調査結果を書面で説明し、記録と書面の写しを保存する(広島市の解説では3年間) |
| 行政手続き | レベル1・2の除去等にあたる場合のみ、作業の届出 | 規模要件に当たる場合、着工前に調査結果を報告 |
※表の「元請業者」欄のうち、調査の範囲・内訳・追加になる条件を示してもらうことは、この記事がお勧めする契約上の確認です。大気汚染防止法18条の15第2項が、費用の根拠の示し方まで直接定めているわけではありません。
費用の負担について、大気汚染防止法は発注者に次のように定めています。
解体等工事の発注者は、当該解体等工事の元請業者が行う前項の規定による調査に要する費用を適正に負担することその他当該調査に関し必要な措置を講ずることにより、当該調査に協力しなければならない。
(大気汚染防止法 第18条の15第2項。e-Gov 法令検索で 2026年9月9日に条文を確認)
同条は発注者に、調査費用の適正な負担と調査への協力を求めています。ただし、「別途」という表示や、金額が空欄のままの承諾を求める規定ではありません。 内訳を尋ねることも、複数社に見積を依頼することも、この条文とは矛盾しません。
もうひとつ、発注者側の配慮義務があります。
特定工事の発注者は、当該特定工事の元請業者に対し、施工方法、工期、工事費その他当該特定工事の請負契約に関する事項について、作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない。
(大気汚染防止法 第18条の16第1項。同上)
この配慮義務の主語は「特定工事の発注者」です
「特定工事」とは、石綿含有建材(特定建築材料)が使われている建築物等の解体・改造・補修の作業を伴う建設工事をいいます(同法2条12項・11項)。したがってこの配慮義務は、調査の結果、石綿含有建材があると分かった工事の発注者にかかるものです。すべての屋根工事の施主に課されるものではありません。
内容としても、値引き交渉そのものを禁じるものではありません。問題になるのは、「必要な養生や作業手順を省くなら契約する」といった、作業基準を守れなくする条件です。
発注者が確認できる2つの書面と1つの掲示
個別の建材に石綿が含まれるかどうかの判断は有資格者の領域ですが、専門知識がない発注者でも、着工前の説明書面・工事中の掲示・対象工事における完了後の報告書面を確認することはできます。
① 着工前 —— 調査結果の書面での説明
大気汚染防止法18条の15第1項は、元請業者に対し、調査を行うとともに「当該解体等工事の発注者に対し、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない」と定めています。説明事項の第一号は「当該調査の結果」です。つまり、石綿が見つからなかった場合でも、調査の結果は書面で説明されることになっています。
厚生労働省も同じことを、平易な言い方で示しています。
(事前調査の結果報告書は、大気汚染防止法に基づき、施工業者(元請事業者)から発注者への報告が必要です。)
(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト、2026年9月9日確認)
広島市は「解体等工事に係る事前調査説明書 兼 保存書面」という参考様式を配布しています。法定様式ではないため各社の書式で構いませんが、調査結果をどの様式で、いつ書面として受け取れるかは、見積段階で確認しておける項目です。
② 工事中 —— 現場の掲示
同法18条の15第5項は、元請業者等に対し、調査に関する記録の写しを現場に備え置き、調査の結果を「当該解体等工事の現場において公衆に見やすいように掲示しなければならない」と定めています。広島市はこれを次のように具体化しています(2026年9月9日確認)。
| 項目 | 広島市の説明 |
|---|---|
| 掲示義務 | 事前調査を実施した場合、石綿の含有の有無に関わらず必ず掲示する必要があります |
| 掲示期間 | 工事着工から工事完了まで |
| 大きさ | 日本産業規格A3判(29.7cm×42.0cm)以上。縦・横の決まりはありません |
| 場所 | 周辺住民及び作業者が見えやすい位置 |
広島市は掲示の参考様式を、レベル1・2用/レベル3用/「石綿使用なし」用の3種類に分けて配布しています。石綿が使われていないという結果であっても掲示の様式が用意されている、ということです。
掲示があることと、工事全体が適切であることは別の話です
掲示は、調査が行われたことを外から確認できる数少ない手がかりです。ただし、掲示の有無だけで工事の内容や手続き全体の適否を判断できるものではありません。気になる点があれば、掲示を見て終わりにせず、①の書面と照らして質問してください。
③ 工事後 —— 完了報告(石綿含有建材を扱った工事の場合)
同法18条の23第1項は、特定工事の元請業者に対し、作業が完了したときは「その結果を遅滞なく当該特定工事の発注者に書面で報告する」ことを定めています。こちらは石綿含有建材があった工事に限られる手続きで、石綿が無いという結果だった工事には発生しません。
「石綿なし」は、何を根拠に判断するのか
「築40年だから入っているはず」「図面にノンアスベストと書いてあるから大丈夫」——どちらも、法令上の判断根拠にはなりません。
厚生労働省の石綿障害予防規則の解説は、調査対象の材料について、石綿等が使用されていないと判断できる方法を2つ示しています。いずれも「製品を特定し」から始まります。
- ア 調査対象材料について、製品を特定し、その製品のメーカーによる石綿等の使用の有無に関する証明や成分情報等と照合する方法
- イ 調査対象材料について、製品を特定し、その製造年月日が平成18年(2006年)9月1日以降であることを確認する方法
同じ解説は、設計図書に「ノンアスベスト材料」等の記載がある場合であっても、その記載のみをもって石綿等が使用されていないと判断することはできないと明記しています。石綿等の含有率の基準が数次にわたって変更されてきたため、材料の製造当時は法令の適用対象外と判断されていたものが、現行の法令では適用対象になる場合があるからです。
建物単位の別ルートもあります(主語は「材料」ではなく「建物の新築着工日」)
ア・イは、材料を1つずつ見ていく判断方法です。これとは別に、石綿障害予防規則3条3項3号は、建築物の新築工事の着工日が平成18年(2006年)9月1日以降であることを設計図書等の文書で確認できる場合、その確認をもって事前調査を行ったものとみなすことができると定めています。この条件を満たすときは、材料を1つずつ特定する目視調査までは求められません。
根拠になるのは完成年のおおよその記憶ではなく、書面で確認した着工日です。増改築の履歴がある場合は、その部分の着工時期も別に確認します。
なお、同規則3条4項の有資格者の要件は「前項各号に規定する場合を除き」とされているため、この着工日確認だけで足りる場合は、有資格者による調査までは求められません。
判断がつかない材料は、分析して確かめるか、石綿が含まれているものとみなして必要な措置を講じながら施工するか、どちらかになります。分析は必ず行うものではありません。この点は費用に直結するので、次の章で扱います。
既存の屋根材ごとの向き・不向きや、カバー工法でも穿孔があれば対象になることについては、屋根のカバー工法と葺き替え、どちらを選ぶ?向く屋根・向かない屋根を二級建築士が比較【広島市・東広島市】で詳しく書いています。
「別途」の金額は、総額より内訳と増減の条件で見る
石綿事前調査費の「相場」を調べても数字がばらつくのは、調査する範囲、建材の種類と試料の数、分析の方法、採取・出張の条件、報告書作成の扱いが見積ごとに異なるためです。したがって、総額のレンジより、次の組み立てで見るほうが実態に合います。
事前調査費の組み立て
事前調査費 = 書面・現地の調査と報告書の作成 + (分析の単価 × 分析する試料の数) + 採取や出張などの条件別の費用
そして、石綿含有建材への対策・撤去・運搬・処分は、事前調査とは別の費用項目になり得ます。金額は建材の種類と量、作業の方法、養生、足場・搬出の条件、運搬・処分の方法などで変わります。分析の結果を待って算定する場合もあれば、当初から石綿が含まれるものとみなす条件で見積る場合もあります。
分析の単価は公表している機関があります。たとえば、ある分析機関は、紙の原本を郵送する条件で、定性分析(JIS A 1481-1)を18,000円(税込19,800円)、定性・推定質量分析を25,000円(税込27,500円)と公表しています(2026年9月9日確認)。同じ機関でも結果をPDFで送る場合の価格は異なります。一機関の公表価格の例であり、分析方法・現地調査の有無・報告書作成・出張費の扱いが同じ条件とは限らないため、他社の見積と直接引き比べる数字としては使えません。
「採取箇所の数」と「料金上の試料の数」は同じとは限りません
環境省のマニュアルは、同一の建材について3箇所から採取し、3個をひとまとめにして1試料とする方法を示しています。採取の箇所数がそのまま請求上の検体数になるとは限らないため、「3か所採るから3検体分」と早合点しないでください。 数え方は見積の前提として確認する項目です。
見積書で確認するとよい4つの質問
以下は、業者の良し悪しを判定するための質問ではありません。見積の範囲と、追加費用が発生する条件を揃えるための、契約上の確認事項です。同じ質問を各社にすれば、金額を同じ土俵で比べられるようになります。
- この工事では、どの部位・どの建材を事前調査の対象にしていますか。
- 「別途」には、書面調査・目視調査・採取・分析・報告書の作成のうち、どこまでが含まれますか。
- 判断がつかない建材は分析しますか、それとも石綿が含まれるものとみなして施工しますか。それぞれの場合で費用はどう変わりますか。
- 誰が、どの資格区分で調査を行い、結果はいつ、どの書面で説明されますか。
回答は口頭だけでなく、基本料金に含まれる範囲、分析の方法と税込単価、追加で採取が必要になったときの連絡方法、石綿が確認された場合に対策・処分の費用を提示する時期まで、見積書または補足の書面に残してもらうと比べやすくなります。
広島市の補助制度は、屋根の成形板を対象としていません
広島市には「民間建築物吹付けアスベスト除去等補助制度」がありますが、令和8年度の案内では対象を「吹付けアスベスト及び重量比0.1%を超えるアスベストを含有する吹付けロックウール」とし、次のように明記しています。
> ※成形板やボード、外壁用の吹付仕上塗料など、上記2種類以外は補助対象ではありません。
> (広島市「令和8年度 広島市民間建築物吹付けアスベスト除去等補助制度のご案内」、ページ更新日2026年9月2日・2026年9月9日確認)
厚生労働省はレベル3を「スレート、Pタイル等その他の石綿含有建材」としており、住宅の屋根に使われてきた化粧スレートなどはこの成形板等にあたります。したがってこの制度では賄えません。申込みには建築指導課との事前協議が必要で、契約後の申込みはできない仕組みです。制度の内容は年度ごとに変わるため、最新は市の公式ページでご確認ください。
広島市・東広島市では、どこへ報告され、どこに相談できるか
規模要件に該当する工事の調査結果は、原則として「石綿事前調査結果報告システム」から報告され、1回の操作で労働基準監督署と自治体の双方へ報告できる仕組みになっています(環境省・厚生労働省、2026年9月9日確認)。自治体側の報告先は次のとおりです。
| 報告先 | 担当課 | 電話 | |
|---|---|---|---|
| 広島市 | 広島市長 | 環境局環境保全課(大気騒音係) | 082-504-2187 |
| 東広島市 | 東広島市長 | 生活衛生課 | 082-422-1048 |
広島市・東広島市以外の広島県内で工事を行う場合は、工事の場所ごとに提出先が異なります(広島県「解体等工事に係る事前調査結果の報告について」の窓口一覧でご確認ください。東広島市「石綿(アスベスト)に関する規制について」とあわせて2026年9月9日確認)。
元請業者とは別の分析機関を利用したい場合は、まず元請業者または有資格の調査者と相談し、採取する建材と範囲を決めてください。採取は事前調査の一部であり、ご自身で建材を採取して送ることは避けて、採取を含めて依頼できるかを確認します。そのうえで、広島市は市内の分析機関の一覧を公式ページで公表しています(広島市「石綿(アスベスト)に関する相談窓口等」、ページ更新日2026年4月24日)。当社は特定の機関を推薦する立場にないため、選ぶときは市の一覧をご覧ください。同じページに、健康相談・廃石綿等の処理・補助制度の窓口も整理されています。
制度のことは行政の窓口へ、見積書のことはご相談ください
大気汚染防止法の報告・届出は市の担当課、石綿障害予防規則や作業する人のばく露防止は所轄の労働基準監督署に確認するのが確実です。 私たちに聞くより早く、正確です。
そのうえで、手元の見積書をどう読めばよいか分からない、複数社の金額が揃わない理由が分からないというときは、読み合わせのお手伝いができます。
見積書の読み合わせ・セカンドオピニオン(広島市・東広島市)
合同会社インハートでは、屋根の葺き替え・カバー工法について、現地調査とお見積り、他社見積のセカンドオピニオンを承っています。見積書を持ってきていただくだけのご相談でも歓迎です。売り込みはいたしません。
私(綾野 利郎)は二級建築士・二級施工管理技士ですが、石綿含有建材調査者の資格は持っていません。そのため、法令上の事前調査は、当社が連携する有資格者に依頼して行います。当社が元請となる工事では、その調査結果を工事計画に反映し、必要な行政報告まで対応します。なお、調査者は当社が連携する者に限りません。お客様が選んだ有資格者による、法令上の要件を満たす調査結果を利用することもできます。
– 電話:050-1725-9907(平日9:00〜18:00/土曜9:00〜17:00/日曜・祝日休)
– お問い合わせフォーム:/contact/
– LINE公式:@737kqotf
まとめ
- 石綿事前調査は、原則として工事の規模・種類によらず必要です。「別途」は、その費用が見積本体に含まれていないことを示す見積上の表示であって、法律が定めた表示方法ではありません。
- 「別途」という記載だけでは、必要な手続きが行われるのか、請求額が妥当なのかは判断できません。確認したいのは、調べる範囲・費用の増減条件・結果を説明する書面の3点です。
- 「100万円」は行政への報告が必要になる線です。事前調査の実施、調査者の資格、行政報告、レベル1・2の届出、補助制度は、それぞれ別の基準で決まります。100万円の算定には材料費・処分費と消費税を含み、同一の者が工事を二以上の契約に分けて請け負う場合も、一つの契約として合算して判定されます。
- 発注者が確認できるものは3つ。着工前の説明書面、工事中の現場の掲示(石綿の有無に関わらず・A3判以上)、そして石綿含有建材があった工事のみ完了後の報告書面です。
- 費用は総額より内訳と増減の条件で見ます。分析するか、含有するものとみなして施工するかで金額は変わります。広島市の吹付けアスベストの補助制度は、屋根の成形板を対象としていません。
- 大気汚染防止法の報告・届出は広島市環境局環境保全課・東広島市生活衛生課、労働者のばく露防止は所轄の労働基準監督署へ。見積書の読み方に迷ったら、読み合わせだけでもご相談ください。
よくある質問
Q. 見積書に「石綿事前調査費 別途」とだけあります。金額を先に出してもらえないのでしょうか。
A. 事前に金額を示せる範囲は、調査の対象と各社の料金体系によって異なります。契約の前に、基本料金に含まれる業務、分析の単価、想定している試料の数、追加が生じる条件とその幅を書面で示してもらってください。「どこまでが基本料金に含まれ、何が増えると追加になるのか」が揃えば、各社の金額を同じ条件で比べられます。
Q. 工事金額が100万円未満なら、石綿の調査は要らないのですか。
A. いいえ。100万円は、調査結果を行政へ報告する義務が生じる線です。調査そのものは、厚生労働省が「原則、工事の規模・種類にかかわらず」必要としており、広島市も「報告対象の規模要件によらずすべての解体等工事で実施しなければならない」と説明しています(2026年9月9日確認)。なお100万円の算定は、材料費や工事で生じた廃棄物の収集運搬費・処理費も含めた作業全体の請負代金で、消費税を含みます。同一の者が工事を二以上の契約に分けて請け負う場合も、一つの契約として合算して判定されます。
Q. 2006年より後に建てた家です。それでも調査は必要ですか。
A. 新築工事の着工日が平成18年(2006年)9月1日以降であることを設計図書等の文書で確認できる場合は、その着工日の確認を事前調査の方法とすることができます(石綿障害予防規則3条3項3号)。この条件を満たすときは、材料を1つずつ特定する目視調査までは求められません。ただし、完成年のおおよその記憶だけでは足りません。増改築部分がある場合は、その部分の着工時期も別に確認します。
Q. 工事が始まったら、調査が行われたことをどう確認できますか。
A. 現場に掲示があります。大気汚染防止法18条の15第5項により、元請業者等は調査の結果を工事現場で公衆に見やすいように掲示することとされています。広島市は、石綿の含有の有無に関わらず掲示が必要で、大きさはA3判以上、期間は着工から完了までと説明しています。ただし、掲示があることをもって工事全体の適否を判断できるわけではありません。着工前に受け取る書面と合わせてご確認ください。
Q. アスベストの調査や除去に、広島市の補助金は使えますか。
A. 広島市の「民間建築物吹付けアスベスト除去等補助制度」は、対象を吹付けアスベストおよび重量比0.1%を超えるアスベストを含有する吹付けロックウールとしており、市の案内には「成形板やボード、外壁用の吹付仕上塗料など、上記2種類以外は補助対象ではありません」と明記されています。住宅の屋根に使われてきた化粧スレートなどの成形板は対象外です(令和8年度の案内・2026年9月9日確認)。制度は年度ごとに変わるため、最新は市の公式ページでご確認ください。
出典(特記のないものは2026年9月9日に確認)
- e-Gov 法令検索「大気汚染防止法」 — 2条11項(特定粉じん排出等作業)・12項(特定工事)の定義、18条の15(調査・発注者への書面交付と説明・記録の保存・現場の掲示・都道府県知事への報告)、18条の16第1項(特定工事の発注者の配慮)、18条の17第1項(届出対象特定工事の届出)、18条の23第1項(特定工事の完了報告)。
- 環境省「石綿事前調査結果の報告について」 — 報告の規模要件(改修100万円以上/解体80㎡以上)、分割契約の合算、請負代金の算定(事前調査費を含まず消費税を含む)、報告システム。
- 厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「小規模工事等の着工前に必要な手続きについて」 — 事前調査の4段階、「原則、工事の規模・種類にかかわらず」、有資格者の4区分、報告書の3年保存、レベル1・2の届出者は発注者。
- 広島市「大気汚染防止法 報告・届出様式(アスベスト(石綿)関連)」 — 報告先・報告者・規模要件・請負代金の範囲、掲示義務(有無に関わらず/A3判以上/着工から完了まで)、発注者への説明の参考様式。
- 広島市「石綿(アスベスト)に関する相談窓口等」 — 窓口の一覧、市内の分析機関の一覧(ページ更新日2026年4月24日)。
- 広島市「令和8年度 広島市民間建築物吹付けアスベスト除去等補助制度のご案内」 — 補助の対象建材と対象外の明記(ページ更新日2026年9月2日)。
- 広島県「解体等工事に係る事前調査結果の報告について」 — 報告者、県内市町の窓口一覧。
- 東広島市「石綿(アスベスト)に関する規制について」 — 報告先(東広島市長)、届出者、提出先(更新日2025年12月22日)。
- 厚生労働省「石綿障害予防規則の解説」(PDF) — 石綿等が使用されていないと判断できる方法(ア・イ)、設計図書の「ノンアスベスト材料」の記載のみでは判断できない旨、3条3項3号(新築着工日が平成18年9月1日以降の場合の調査方法)。
- 分析の単価は株式会社本庄分析センターの公表価格の例。採取の考え方は環境省「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」(2026年8月に確認)による。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の建物についての判断ではありません。石綿の法令上の事前調査と含有の判定は建築物石綿含有建材調査者などの有資格者、制度の適用の可否は所管の行政庁の領域です。費用の記述は特定の工事に対する見積ではなく、実際の金額は現地調査に基づくお見積りでご確認ください。法令・制度・費用は改正や年度更新により変わります。
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綾野 利郎(合同会社インハート 代表) 二級建築士・二級施工管理技士。広島市・東広島市で、旧耐震木造住宅の瓦→板金屋根への葺き替えによる耐震改修と、住宅用太陽光発電を手がける。現地調査から施工管理まで有資格者が一貫して担当し、「売り込まない専門家」として住まいの相談に対応している。

