屋根のカバー工法と葺き替え、どちらを選ぶ?向く屋根・向かない屋根を二級建築士が比較【広島市・東広島市】

カバー工法と葺き替えの違いを比べたイラスト。上は既存のスレート屋根に金属屋根を重ねるカバー工法、下は屋根材を撤去して野地板に防水シートを敷く葺き替え。広島市・東広島市の屋根改修の工法選びのイメージ

※この記事は、合同会社インハート 代表(二級建築士・二級施工管理技士)が解説しています。費用の目安は 2026年7月時点 の広島での一般的な相場で、実際の金額は屋根の面積・形状・下地の状態で変わります。制度や法令の最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

✅ この記事の結論(先にお伝えします)

  • カバー工法は既存の屋根材を残して上から新しい屋根材を重ねる工法、葺き替えは既存の屋根材を撤去して新しくする工法です。違いは「撤去するかどうか」で、そこから費用・工期・耐震・下地の扱いがすべて分かれます。
  • 選択を決めるのは好みではなく、①既存の屋根材 ②下地(野地板)の傷み ③アスベストの有無 ④耐震の考え方の4点です。
  • 瓦屋根はカバー工法の対象外です(表面に凹凸があり、新しい屋根材の下地にできないため)。瓦のお住まいは葺き替えが現実的な選択になります。
  • 雨漏りの跡や下地の傷みがある場合は、先に原因の特定と補修が必要です。カバー工法は、原因を残したまま蓋をしてしまう選び方には向きません。
  • 費用の目安(2026年7月時点・屋根面積100㎡程度・足場と税込)は、スレート屋根へのカバー工法で80〜150万円、スレートの葺き替えで110〜180万円、瓦からの葺き替えで140〜200万円カバー工法が安いのは全面撤去・処分費を省けるためで、工事の質の差ではありません。
  • どちらの工法も、屋根ふき材のみの工事なら確認申請は不要です(国土交通省 国住指第355号、令和6年2月8日)。
  • 広島市・東広島市で、現地調査とセカンドオピニオンを承っています。売り込みはいたしません(2026年7月時点)。

「カバー工法で十分ですよ」と言われた方と、「葺き替えないと駄目です」と言われた方。同じような築年数のお住まいでも、業者によって提案が分かれることは珍しくありません。

どちらかが嘘をついているとは限りません。カバー工法と葺き替えは、どちらが優れているという関係ではなく、条件によって使い分けるものだからです。ただ、その条件を説明されないまま金額だけを比べると、判断のしようがありません。

この記事では、広島市・東広島市で屋根の改修に携わる二級建築士が、自宅がどちらに向くかを自分で見当づけられる判断基準を整理します。金額の比較は最後です。先に、屋根の状態の話をさせてください。

目次

そもそも何が違う?――「撤去するかどうか」だけです

工法の名前は難しく聞こえますが、違いは一点だけです。

カバー工法(重ね葺き)葺き替え
既存の屋根材残す(上から重ねる)撤去する
下地(野地板)の確認原則できない(隠れたまま)全面を目視できる
防水シート(ルーフィング)既存の上に新規を敷く全面を新しくする
撤去・処分費全面撤去がない分だけ抑えられるかかる
工期の目安5日〜1週間程度10日〜2週間程度
屋根の重さ既存 + 新設(増える)新設のみ(減らせる)
向いている状況下地が健全・雨漏りなし下地の傷み・雨漏り・瓦屋根

「カバー工法=手抜き」ではありません
カバー工法は、条件が合えば合理的な工法です。既存の屋根材が層として残るため断熱・遮音に一定程度寄与する場合があり、全面撤去を省けるぶん粉じんも抑えやすくなります。工期が短いぶん、工事中に雨に当たるリスクも減ります。ただし棟板金などの役物の撤去・処分や、施工時の穿孔・端材の処理は発生します(「撤去がゼロ」ではありません)。問題になるのは、条件が合っていないのに選んでしまったときです。

判断①:既存の屋根材は何か

最初の分かれ道です。ここでほぼ半分が決まります。

既存の屋根材カバー工法理由
化粧スレート(コロニアル等)可能な場合が多い(最も一般的)表面が平滑で、対応するカバー工法の製品が多い
金属屋根(ガルバリウム等)状態により可能サビ・変形の程度によって固定の可否が変わる(工法ごとに個別確認)
瓦屋根(和瓦・洋瓦)対象外波形の凹凸があり、上に平らな下地を作れない。重量も増える
アスファルトシングル状態により可能めくれ・浮きの程度によって可否が変わる

化粧スレートで施工できることが多いのは事実ですが、「スレートなら必ずできる」わけではありません。一般的な金属カバー工法では、ビスを既存の屋根材越しに野地板や垂木へ効かせて固定するため、既存製品の種類・屋根の勾配・劣化の程度・野地板の固定力がメーカーの施工条件を満たしている必要があります。

瓦屋根のお住まいは、カバー工法という選択肢がありません。 瓦は一枚一枚が立体的で、その上に新しい屋根材を固定する平らな面を作れないためです。加えて、もともと重い瓦を残したまま屋根材を足すと、建物にかかる重さがさらに増えてしまいます。

広島では瓦屋根のお住まいからのご相談も多くいただきます。「瓦だけどカバー工法で安くできますよ」という提案を受けた場合は、具体的にどうやって下地を作るのかを確認してください。瓦屋根の費用と流れは瓦屋根の葺き替え費用・流れ・工期で詳しく解説しています。

判断②:下地(野地板)は傷んでいないか

ここが、金額だけでは見えない最も重要な部分です。

屋根は、表面の屋根材だけでできているわけではありません。下から順に、野地板(のじいた)→ 防水シート(ルーフィング)→ 屋根材という層になっています。屋根材が雨の大半を流す「一次防水」を担い、屋根材の隙間から入った水を防水シートが止める「二次防水」を担います。 どちらも雨漏りを防ぐために必要な層で、屋根材だけ・シートだけでは成立しません。

カバー工法では、既存の屋根材を残すため、その下の野地板の状態を見ることができません。もし野地板が湿気で腐りかけていても、そのまま蓋をしてしまうことになります。

「雨漏りしていないから下地は大丈夫」とは言い切れません
二次防水である防水シートの寿命は屋根材より短いことが多く、室内に到達する前の段階で野地板が傷んでいることがあります。天井にシミが出ていなくても、小屋裏(天井裏)から野地板の裏面を確認すると、雨染みや変色が見つかる場合があります。点検口があるお住まいなら、ここを見るだけでも情報が増えます。

次のいずれかに当てはまる場合は、カバー工法をそのまま進める前に、原因の特定と必要な補修を先に行う必要があります。補修のうえで施工できる場合もありますが、順序が逆になると原因を覆い隠すことになります。

  • 雨漏りの跡がある(天井のシミ、小屋裏の雨染み)
  • 屋根に踏むとたわむ・沈む箇所があると指摘された
  • すでに一度カバー工法をしている(既存の構成・固定先・メーカーの施工条件から可否を個別に確認します)
  • 屋根材の割れ・欠損が広範囲にある

ご自身で屋根に上がらないでください
屋根の踏み込み確認は、転落のおそれがあるうえ、傷んだ屋根材をさらに割ってしまうことがあります。確認は施工業者にご依頼ください。 ご自身で見ていただくなら、小屋裏の点検口から野地板の裏面を見る範囲までをおすすめします。

雨漏りの原因の見極めについては、雨漏りの原因と修理費用・火災保険が使える条件で、原因が屋根とは限らない点も含めて整理しています。

判断③:アスベスト(石綿)が含まれていないか

築年数によっては、この確認が工事の前提になります。

石綿を含む製品は、平成18年(2006年)9月から製造・輸入・使用が禁止されています(厚生労働省)。それ以前に着工した建物では、屋根材に石綿が含まれている可能性があります。ただし、築年数だけで「含まれている」「いない」を断定することはできません

ここで、カバー工法の性格が効いてきます。既存の屋根材を全面撤去しないカバー工法は、石綿を含む屋根材を破砕する場面を避けやすく、飛散を抑えやすい面があります。一方、葺き替えは撤去を伴うため、相応の対策と処分が必要になります。

ただし、「撤去しない=対策不要」ではありません。 カバー工法でも、新しい屋根材を固定するために既存の屋根材へビスで穴を開ける場合があります。石綿を含む材料に電動工具で穿孔する作業は事前調査の対象で、法令に沿った飛散・ばく露の防止措置が必要です。「カバー工法だから石綿の話は関係ない」と説明されたら、そこは確認してください。

事前調査は「工事の規模にかかわらず」必要です
厚生労働省は、施工業者(元請事業者)について「原則、工事の規模・種類にかかわらず改修等の対象箇所すべての材料に対し、事前調査を行う必要があります」としています(厚生労働省 石綿事前調査、2026年8月8日確認)。
さらに 令和5年10月1日以降に着工する工事では、調査は「特定建築物石綿含有建材調査者」等の有資格者が行う必要があります。調査結果の報告は、建築物の改修工事では請負金額100万円以上(解体は床面積合計80㎡以上)が対象です。この100万円は事前調査費を除き、材料費も含めた作業全体の請負代金に消費税を加えた金額で、報告は元請事業者が着工前に、労働基準監督署と都道府県等へ行います。

私(二級建築士・二級施工管理技士)自身は、石綿含有建材調査者の資格を持っていません。そのため、法令上の事前調査は、当社が連携する有資格者に依頼して行います。当社が元請となる工事では、その調査結果を工事計画に反映し、必要な行政報告まで対応します。なお、調査者は当社が連携する者に限りません。お客様が選んだ有資格者による、法令上の要件を満たす調査結果を利用することもできます。

なお、石綿含有建材データベースで製品が見つからないことは、「石綿は入っていない」という証明にはなりません。データベースは収録されている製品の情報を提供するもので、含有の有無を確定させるのは事前調査です。

なお、お施主様(発注者)の側にも役割があります。厚生労働省は発注者に対し、「石綿の有無を確認するうえで有用な情報(設計図書、建築確認申請の副本等)を施工業者に提供する」配慮と、「事前調査の費用及び石綿が使用されていることが明らかになった場合における石綿除去等工事に必要な費用を適正に負担」することを求めています(厚生労働省 発注者向け情報、2026年7月確認)。新築時の図面が残っていれば、ぜひ探しておいてください。 調査がスムーズになります。

判断④:耐震を重視するかどうか

ここが、広島の旧耐震のお住まいで最も差が出る観点です。

地震の力は建物の重量に比例して大きくなるため、建物の最上部にある屋根の重さは揺れ方に影響します。屋根材の重さの目安は次のとおりです。

屋根材重さの目安(1㎡あたり)
和瓦(ふき土あり)50〜60kg
化粧スレート約20kg
ガルバリウム鋼板5〜7kg

ここで、両工法の違いが数字に出ます。

  • 葺き替え(スレート → ガルバリウム鋼板):約20kg → 5〜7kg。屋根材本体でおおむね65〜75%軽くなります(1/4〜1/3強の重さ)。
  • カバー工法(スレートの上にガルバリウム鋼板):約20kg + 5〜7kg = 25〜27kg軽くなるのではなく、少し重くなります

この数字は屋根材本体だけの概算です
実際に建物にかかる荷重には、新しい防水シート・ビス・棟板金などの役物、工法によっては増し張りの下地材も加わります。正確な増加荷重は、採用する製品と工法が決まってから確認するものとお考えください。

つまり、耐震を目的に屋根を軽くしたいなら、カバー工法では目的を達成できません。この一点だけは、費用差では埋められない違いです。瓦から金属屋根への葺き替えなら約1/10の軽さになり、効果はさらに大きくなります。

ただし公平に申し上げると、屋根の軽量化だけで耐震性が十分になるとは限りません。屋根を軽くするだけで足りるのか、壁の補強と組み合わせる必要があるのかは、耐震診断で確認する必要があります。効果と限界は屋根の軽量化は耐震に効くか?効果と限界で両論を整理しています。

確認申請については、どちらの工法でも原則不要です
2025年4月施行の改正建築基準法(4号特例の縮小)で「リフォームにも確認申請が必要になった」という情報が広まりましたが、屋根ふき材のみの葺き替え・カバー工法は「大規模の修繕・模様替え」に該当しないとして整理されています(国土交通省 国住指第355号、令和6年2月8日)。
ただし確認申請が不要であることと、建築基準法に適合させなくてよいことは別です。詳しくは屋根の葺き替えに確認申請は必要になった?をご覧ください。

費用と工期の目安――「安い理由」を確かめてください

ここまでの4点を踏まえたうえで、費用です。下表は当社の相談・見積の実務にもとづく2026年7月時点の目安で、公的に定められた標準価格ではありません。

工法費用の目安工期の目安
スレート屋根 → カバー工法80〜150万円5日〜1週間程度
スレート屋根 → 葺き替え110〜180万円10日〜2週間程度
瓦屋根 → 葺き替え(ガルバリウム鋼板)140〜200万円10日〜2週間程度

上表の前提条件
屋根面積100㎡程度(延床30坪前後の総二階を想定)/ 足場を含む / 消費税込 / 工期は足場の設置から撤去までの全工程(実働日数ではありません)。
石綿の事前調査費・除去等の対策費、野地板の補修・交換費は含みません(状態により別途)。屋根の形状が複雑な場合・急勾配の場合は上振れします。

カバー工法が安くなる主な理由は、既存屋根材の全面撤去費と廃材の処分費を省けるためです。 工事の質が低いから安いわけではありません。逆に言えば、カバー工法の見積が葺き替えとほとんど変わらない場合は、内訳を確認する価値があります

見積を比べるときに条件を揃えたい項目
2社の金額を比べるときは、次が同条件かを確認すると、差の理由が見えてきます。
足場(含まれているか / 別途か)
既存屋根材の撤去・処分費(葺き替えのみ)
防水シート(ルーフィング)の種類とグレード
野地板の補修(「傷んでいたら別途」なのか、一定範囲まで込みなのか)
棟板金・雪止め・雨樋などの付帯部
石綿の事前調査費用
消費税(税抜表記か税込表記か)
特に「野地板が傷んでいたら別途」は、葺き替えで開けてみて初めて分かる部分です。追加が発生する条件と、そのときの単価まで書かれている見積は、比較や追加費用の見通しが立てやすくなります。

現地調査とセカンドオピニオンを承っています

広島市・東広島市で、屋根の現地調査とセカンドオピニオンを承っています。「カバー工法と葺き替えで提案が分かれた」「見積の内訳を見てほしい」というご相談だけでも構いません。売り込みはいたしません。
📞 050-1725-9907(平日9-18時 / 土9-17時 / 日祝休)
💬 LINE(友だち追加)/ お問い合わせフォーム
※お手元に見積書があれば、個人情報の部分を隠したうえでLINEでお送りいただくと、確認したい点をあらかじめ整理できます。

判断が分かれる2つの典型パターン

パターン1:カバー工法が合理的になりやすい条件
築20年程度の化粧スレート。色あせやコケは目立つが、雨漏りの跡はなく、小屋裏から見た野地板にも雨染み・変色がない。この条件なら、下地を全面的に開ける必要性は高くありません。工期が短く、工事中に雨へ当たるリスクも減ります。「どうせなら全部やり替えたほうが安心では」と迷われる方は多いのですが、なぜカバー工法で足りるのかを説明できる状態かどうかが判断の分かれ目です。

パターン2:カバー工法の前に確認が要る条件
築30年を超える化粧スレートで、他社から「カバー工法で大丈夫」と提案を受けている。天井にシミは出ていなくても、小屋裏に雨染みや野地板の軟化がある場合、二次防水である防水シートが先に劣化している可能性があります。この状態のまま上から覆うと、下地の傷みが見えないまま進みます。まず原因を確かめ、必要な補修をしてから工法を決める順序になります。

※上記は、複数のご相談で繰り返し見られる条件をもとに再構成した典型パターンであり、特定のお客様の事例ではありません。実際の判断は現地調査によって異なります。

メリット・デメリット早見表

カバー工法葺き替え
メリット費用を抑えられる / 工期が短い / 全面撤去に伴う粉じんを抑えやすい / 断熱・遮音に一定程度寄与する場合がある / 石綿含有材の破砕を避けやすい下地を全面確認できる / 防水シートを全面刷新できる / 屋根を軽くできる(耐震に有利) / 既存屋根材を撤去するため適用範囲が広い
デメリット下地の状態を確認できない / 屋根が重くなる / 瓦屋根は対象外 / 次回の改修時の負担が増えうる / 雨漏りがある場合は先に原因究明が必要費用が高い / 工期が長い / 撤去時に粉じんが出る / 石綿含有の場合は対策と処分が必要
将来の負担次回に葺き替える場合、二層分の撤去・処分費がかかる可能性がある次回は、状態と製品条件が合えばカバー工法も選べる場合がある

カバー工法のデメリットで見落とされやすいのが、最後の「将来の負担」です。 今回カバーで安く済ませても、次に葺き替える際は二層分の撤去・処分費がかかる可能性があります。今回の差額と将来の差額の両方で考えると、判断が変わることがあります。

よくある質問

Q. 瓦屋根にカバー工法はできませんか?
A. 瓦屋根はカバー工法の対象外です。瓦は表面に立体的な凹凸があるため、上に新しい屋根材を固定するための平らな下地を作れません。また、重い瓦を残したまま屋根材を重ねると建物にかかる重量がさらに増えるため、耐震の面でも合理的ではありません。瓦のお住まいは葺き替えが現実的な選択になります。

Q. 雨漏りしていますが、カバー工法で直せますか?
A. 雨漏りがある状態で、原因を確かめないままカバー工法へ進むことはおすすめしていません。雨漏りは屋根材そのものより二次防水である防水シートや野地板の問題であることが多く、原因を残したまま上から覆うことになるためです。まず原因を特定し、必要な補修を行ったうえで工法を選ぶ順序になります。補修後にカバー工法を選べる場合もあります。なお雨漏りの原因は屋根とは限らず、外壁やベランダ防水のこともあります。

Q. カバー工法だと屋根が重くなって、地震に不利になりませんか?
A. 既存の屋根材を残すため、屋根の重さは増えます。化粧スレート(約20kg/㎡)にガルバリウム鋼板(5〜7kg/㎡)を重ねると25〜27kg/㎡程度です。ただし、これは瓦屋根(50〜60kg/㎡)よりは軽い状態です。耐震のために屋根を軽くすることが目的なら、カバー工法ではその目的を達成できませんので、葺き替えをご検討ください。

Q. アスベストが入っているかどうかは、どうすれば分かりますか?
A. 石綿を含む製品は平成18年(2006年)9月から製造・使用が禁止されているため、それ以前に着工した建物では可能性があります。ただし築年数だけでは断定できず、確認には有資格者による事前調査が必要です(令和5年10月1日以降に着工する工事)。国土交通省・経済産業省の石綿(アスベスト)含有建材データベースで製品名から調べられる場合もありますが、データベースに出てこないことは「石綿なし」の証明にはなりません。新築時の図面が残っていると調査がスムーズです。なお、カバー工法でも既存屋根材に穴を開ける場合は対策の対象になり得ます。

Q. カバー工法や葺き替えに、建築確認申請は必要ですか?
A. 屋根ふき材のみの工事であれば、カバー工法・葺き替えのどちらも確認申請は不要です。国土交通省の技術的助言(国住指第355号、令和6年2月8日)で「大規模の修繕・模様替え」に該当しないと整理されています。ただし、野地板や垂木といった構造材を過半にわたり取り替える場合は別の判断になります。また、確認申請が不要であっても建築基準法に適合させる必要はあります。

Q. 工事の時期に、向き・不向きはありますか?
A. 屋根工事は雨の影響を受けるため、梅雨時期と台風シーズンは工程が延びやすくなります。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、中国地方(山口県を含まず)への台風接近数は7月0.6・8月0.8・9月1.1・10月0.3で、秋口にかけて多くなる傾向です。これは工期に余裕を持たせるかどうかの判断材料としてお考えください。台風シーズン前に点検だけ済ませておくという進め方もあります。

まとめ

カバー工法と葺き替えは、優劣ではなく適材適所です。判断は次の順序で行うと整理しやすくなります。

  1. 既存の屋根材は何か → 瓦屋根なら葺き替え一択
  2. 下地は健全か → 雨漏りの跡やたわみがあれば、まず原因の特定と補修を
  3. 石綿の可能性はあるか → 有資格者の事前調査へ(2006年9月以前着工なら特に)
  4. 耐震のために軽くしたいか → はいなら葺き替え

このうち②の下地の状態だけは、外から見ても判断がつきません。ここが、金額の比較だけでは工法を決められない理由です。小屋裏の点検口から野地板の裏面を見るだけでも情報は増えますので、ご自身で確認できる範囲としておすすめしています。

広島市・東広島市で、現地調査とセカンドオピニオンを承っています。他社の提案が分かれてお困りの場合も、どちらが妥当かを一緒に確認します。売り込みはいたしませんので、判断材料を増やす目的でお使いください。

住まい全体のご相談は住まいの総合相談窓口から、工事を任せる会社の選び方は耐震改修の業者選びもあわせてご覧ください。

出典(2026年7月23日時点で確認)

費用・工期・屋根材の重量は、公的に定められた標準値ではなく、2026年7月時点の広島での一般的な目安です。実際の金額と工期は現地調査に基づくお見積りでご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の建物の判断は現地調査のうえ、有資格者にご相談ください。石綿の調査は建築物石綿含有建材調査者、建築確認の個別判断は所管行政庁の領域です。

著者・運営者情報

綾野 利郎(合同会社インハート 代表) 二級建築士・二級施工管理技士。広島市・東広島市で、旧耐震木造住宅の瓦→板金屋根への葺き替えによる耐震改修と、住宅用太陽光発電を手がける。診断から施工管理まで有資格者が一貫して担当し、「売り込まない専門家」として住まいの相談に対応している。


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この記事を書いた人

合同会社インハート 代表。二級建築士・二級施工管理技士。広島市・東広島市で、旧耐震木造住宅の屋根葺き替えによる耐震改修と、住宅用太陽光発電を手がける。診断から施工管理まで有資格者が一貫して担当し、「売り込まない専門家」として住まいの相談に対応している。

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