耐震診断は壁を壊さず家の内外と図面を確認する「住まいの健康診断」。対象は1981年以前の木造で、一般診断の費用相場は5万〜30万円、所要はおおむね半日です。広島市の補助は診断費用の2/3以内・上限4万円ですが、補助対象は市登録の診断士による診断に限られ、交付決定前に始めると対象外。結果は上部構造評点で判定し、1.0以上で「倒壊しない」/0.7未満で「倒壊の可能性が高い」(2026年6月時点)。
「地震が心配だけれど、うちの家は大丈夫だろうか」「耐震診断という言葉は聞くけれど、いったい何をするのか分からない」——そんな思いから、最初の一歩をためらっている方は少なくありません。とくに築年数の経った住宅にお住まいの方ほど、気になりながらも後回しにしてしまいがちです。
まず、お伝えしたいことがあります。耐震診断は、いきなり壁を壊すような大がかりなものではありません。 多くは、家のなかと外を見て回り、図面を確かめる——そうした「住まいの健康診断」のような作業が中心です。そして、診断を受けたからといって、必ず工事をしなければならないわけでもありません。
この記事では、広島市・東広島市で旧耐震(1981年以前)の木造住宅にお住まいの方に向けて、耐震診断とは何か・当日の流れ・費用の目安・補助金との関係・そして診断を頼む相手の探し方まで、やさしくご説明します。どうぞ肩の力を抜いてお読みください。
耐震診断とは?——「家の地震への強さ」を確かめること
耐震診断とは、ひとことで言えば、いまの住まいが地震に対してどのくらいの強さを持っているかを、専門家が確かめる作業です。
とくに大切なのが、1981年(昭和56年)より前に建てられた木造住宅です。この年に建物の耐震基準が大きく変わり、それ以前の「旧耐震基準」で建てられた住宅は、現在の基準から見ると地震への備えが十分でないことがあります。広島市・東広島市の補助制度も、この旧耐震の木造住宅を主な対象にしています。
→ 関連記事:東広島市の耐震改修補助金|診断は1万円・改修は最大100万円を二級建築士が解説
診断で確かめること
診断では、専門家が次のような点を確かめます。
- 建物の形(壁の配置のバランス、間取り)
- 壁の量と、筋かい・金物などの補強の状態
- 基礎の種類やひび割れ、傷み
- 屋根の重さ(瓦か、軽い屋根材か)
- シロアリや雨漏りによる傷みの有無
なお、屋根の重さが地震のときの揺れに関わる理由は、別記事でくわしく解説しています。
→ 関連記事:瓦屋根は重いと耐震に不利?屋根の重さと地震の揺れの関係を有資格者が解説【前編】
「評点」という考え方
診断の結果は、上部構造評点という数値で示されます。むずかしく考える必要はありません。おおよその目安は次のとおりです。
- 1.0以上:地震に対して「倒壊しない/一応倒壊しない」とされる状態
- 0.7以上〜1.0未満:「倒壊する可能性がある」
- 0.7未満:「倒壊する可能性が高い」
広島市・東広島市の耐震改修の補助は、この評点が低い(0.7未満の)住宅を主な対象にしています。まずは診断で、ご自宅がどのあたりにあるのかを知ることが出発点になります。
→ 関連記事:木造住宅の耐震改修、費用はいくら?工法別の相場と広島市の補助金を二級建築士が解説
出典:東京都耐震ポータルサイト「耐震診断」 http://www.taishin.metro.tokyo.lg.jp/proceed/topic01_01.html (2026年6月時点)
耐震診断には種類がある——「一般診断」と「精密診断」
耐震診断には、いくつかの段階があります。木造住宅でよく使われるのが「一般診断」と「精密診断」です。
一般診断——まず「補強が必要かどうか」を判断する
一般診断は、耐震改修などの「必要性を判断する」ことを目的とした診断です。原則として、内装材や外装材を剥がすことはせず、目視と図面の確認を中心に行います。補助金を使った診断は、多くがこの一般診断にあたります。
精密診断——「より詳しく」調べる
精密診断は、一般診断で「補強が必要」となった場合に、部材や接合部などをより詳しく調べる診断です。必要に応じて、壁の一部を開けて中の状態を確認することもあります。実際の補強設計につなげるための、一歩踏み込んだ診断です。
どちらも、いきなり家を壊すものではありません。まずは一般診断で全体像を知り、必要に応じて次の段階へ進む——という流れが基本です。
出典:東京都耐震ポータルサイト「耐震診断」 http://www.taishin.metro.tokyo.lg.jp/proceed/topic01_01.html (2026年6月時点)
当日の流れ——診断では実際に何をするのか
「立ち会うときに、何を準備すればいいの?」という声をよくいただきます。一般診断の当日は、おおよそ次のように進みます。
事前の打ち合わせ・図面の確認
建てた年や増改築の有無をうかがい、図面があれば見せていただきます。図面がなくても診断はできますので、ご安心ください(その場合は実測などの作業が加わります)。
家のなかと外の目視確認
専門家が、壁・天井・床・基礎・屋根まわりなどを見て回ります。所要時間は住まいの規模にもよりますが、おおむね半日ほどが目安です。生活している状態のまま立ち会っていただけます。
その場での簡単なご説明と、後日の報告書
見て回ったあとに、気づいた点やおおまかな見立てを、その場でお話しできることもあります。正式な診断結果(評点など)は、後日あらためて書面でお渡しするのが一般的です。
大がかりな工事を伴わないので、診断そのもので家が傷むことはありません。「まず見てもらうだけ」という気持ちで受けていただけます。
費用の目安と、補助金で負担が軽くなる仕組み
気になるのは費用だと思います。順番にご説明します。
診断費用のおおよその目安
耐震診断の費用は、建物の規模・診断の種類・図面の有無によって幅がありますが、木造住宅の一般診断で、おおよそ5万〜30万円程度が一つの目安とされています(精密診断はこれより高くなる傾向があります)。
これはあくまで全国的な相場の目安で、事業者や建物の状況によって変わります。実際の金額は、診断士からの見積りでご確認ください。
広島市の「診断費用への補助」
ここが大切なポイントです。広島市では、診断の費用そのものに対しても補助を受けられます。
広島市の住宅耐震診断補助(戸建木造住宅)では、診断費用の3分の2以内(上限4万円)が補助されます。つまり、補助を使うことで、自己負担はぐっと軽くなります。
- 対象:昭和56年5月31日以前に着工された木造(在来軸組構法・伝統的構法)の戸建・併用住宅で、地階を除く階数が2以下のもの
- 注意:補助金の交付決定を受ける前に診断を始めてしまうと、補助の対象になりません
出典:広島市「住宅の耐震診断を応援します!」 https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/sumai/1021346/1026338/1018624.html (2026年6月時点)
東広島市にも、木造住宅の耐震診断に対する補助制度があります。内容は市の公式ページでご確認ください。
出典:東広島市「木造住宅耐震診断補助事業」 https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/toshi/4_1/8/index.html (2026年6月時点)
「順序」に注意——診断も工事も「交付決定のあとで」
補助金には、守るべき順序があります。診断・工事のいずれも、市から補助金の交付決定を受けたあとに始めるのが大原則です。先に動いてしまうと、補助の対象外になることがあります。補助金の金額や申請の流れについては、別記事でくわしくまとめています。
→ 関連記事:広島市 耐震改修 補助金|有資格者が解説する制度・流れ・注意点
→ 関連記事:瓦屋根の葺き替え費用はいくら?工事の流れ・工期・耐震との関係を建築士が解説【広島市・東広島市】
※補助制度の要件・金額・窓口は年度や時期によって変わります。最新の内容は、必ず各自治体の公式ホームページでご確認ください(本記事の情報は2026年6月時点のものです)。
診断は誰に頼む?——広島市の「登録された診断士」の探し方
意外と知られていない、大切なポイントです。
補助金を使った耐震診断は、誰が行ってもよいわけではありません。 広島市の場合、市に登録された耐震診断資格者(建築士)が行った診断でなければ、補助の対象になりません。広島市の公式案内でも「広島市に登録した耐震診断資格者(建築士)を選定してください」と示されています。
出典:広島市「住宅の耐震診断を応援します!」 https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/sumai/1021346/1026338/1018624.html (2026年6月時点)
登録された診断士の探し方
では、その登録された診断士は、どうやって見つければよいのでしょうか。公的な手がかりがあります。
- 広島市の名簿を見る:広島市は「木造住宅耐震診断資格者名簿」を公開しています。市のホームページからダウンロードできるほか、市役所の住宅政策課や各区役所の建築課の窓口でも確認できます。建築士事務所の所在地などで探すことができます。
- 市の窓口に相談する:「補助金を使って診断したい」と市の住宅担当窓口に相談すれば、対応できる診断士の探し方も案内してもらえます。
出典:広島市「耐震診断資格者について」 https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/sumai/1021346/1026338/1018623.html (2026年6月時点)
名簿は「お墨付き」ではない——選ぶときの目安
ひとつ知っておいていただきたいのは、名簿に載っていること自体が「市のお墨付き」を意味するわけではないということです。名簿は「補助対象の診断ができる登録資格者」の一覧であって、品質を保証するものではありません。
最終的にどの診断士・業者にお願いするかは、こちらの質問にやさしく答えてくれるか、診断結果をていねいに説明してくれるかといった点も合わせて、ご自身の目で確かめて選んでいただくのが安心です。落ち着いて選ぶための見分け方は、別記事にまとめています。
→ 関連記事:耐震改修の業者選びで失敗しないために|信頼できる会社の見分け方チェックリスト
インハートで「いまできること」と「これからできること」
最後に、私たちインハートが、いまの段階で何をお手伝いできるかを、正直にお伝えします。
いまできること——現地での無料相談・セカンドオピニオン
代表は二級建築士・二級施工管理技士として、ご自宅を実際に拝見し、建物の状態や、耐震改修にどんな選択肢があるかを、その場でご説明することができます。
- 「うちは診断を受けたほうがいい家なのか、まず知りたい」
- 「他社からもらった見積りや診断結果が、妥当なのか見てほしい(セカンドオピニオン)」
こうしたご相談に、売り込みなしでお応えします。「診断士をどう探せばいいか分からない」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。
これからできること——2027年2月以降の「診断から一貫対応」
代表は、補助金対象の診断ができる耐震診断資格者の資格を、2027年2月以降に取得する予定です。資格取得後は、診断から、補強の設計、工事の施工管理まで、有資格者である代表自身が一貫してお引き受けできるようになります。
「誰が診断して、誰が工事をするのか」がばらばらにならず、ひとりの専門家が最初から最後まで責任を持つ——それが、私たちがこれから目指す形です。
いまは「相談・セカンドオピニオン」から。これからは「診断から一貫して」。どちらの段階でも、あなたの住まいに寄り添います。
なお、地震のあとに行われる「被災建築物応急危険度判定」は、ここで説明した耐震診断とは目的も手法も別の制度です。違いは地震のあと、家に貼られる赤・黄・緑の紙は何?被災建築物応急危険度判定の見方【広島市・東広島市】で整理しています。
まとめ:まずは「知ること」から、落ち着いて
耐震診断は、こわいものでも、大げさなものでもありません。住まいのいまの状態を知り、これからどうするかを落ち着いて考えるための、最初の一歩です。
最後に、ポイントを振り返ります。
- 耐震診断は、家の地震への強さを確かめる「健康診断」のようなもの
- 一般診断は目視と図面の確認が中心。おおむね半日ほどで、家を壊すことはない
- 診断費用の目安は一般診断でおおよそ5万〜30万円程度。広島市では診断費用の3分の2以内(上限4万円)の補助が使える
- 補助金を使う診断は、広島市に登録された診断士が行う必要がある(交付決定の前に始めないこと)
- 診断士をお探しの段階でも、相談・セカンドオピニオンは受けられる
「うちはどうなのだろう」と少しでも気になったら、それが診断を考える良いタイミングです。急がず、一歩ずつ進めていきましょう。
→ 関連記事:旧耐震の住まいの相談は、まず一人にまとめて ― 耐震・空き家・太陽光を有資格者が一貫サポート
広島にどのような活断層があり、公表されている「30年確率 不明」をどう読めばよいかは、広島の活断層「30年確率 不明」とは?令和8年熊本地震から考える木造住宅の備え【広島市・東広島市】にまとめています。
著者・運営者情報
綾野 利郎(合同会社インハート 代表) 広島市拠点。二級建築士・二級施工管理技士。耐震診断資格者(2027年2月以降取得予定)。旧耐震木造住宅の耐震改修・屋根葺き替え工事を主軸に、広島市・東広島市で活動。「売り込まない専門家」として、有資格者による一貫担当を信条としています。
無料相談のご案内
「うちは診断を受けたほうがいい家だろうか」「この診断結果や見積りは妥当だろうか」——そんなときは、お気軽にご相談ください。インハートでは、広島市・東広島市の旧耐震木造住宅について、有資格者(二級建築士)が現地を拝見しながら、建物の状態と選択肢を丁寧にご説明します(耐震診断資格者の資格は2027年2月以降に取得予定。それまでは現地相談・セカンドオピニオンを承ります)。その場での契約はお願いしません。ご家族とご相談のうえ、ゆっくりご判断ください。
お電話の場合:050-1725-9907(平日 9:00〜18:00 / 土曜 9:00〜17:00 / 日祝休)
広島市・東広島市を中心に対応しております。
出典・参考(2026-06-07 確認)
国・公的機関
- 東京都耐震ポータルサイト「耐震診断(一般診断法・精密診断法/上部構造評点)」 http://www.taishin.metro.tokyo.lg.jp/proceed/topic01_01.html ― 一般診断/精密診断の定義と評点の根拠
- 一般財団法人 日本建築防災協会「2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法」 https://www.kenchiku-bosai.or.jp/ ― 広島市の補助対象診断が依拠する規準
広島市・東広島市
- 広島市「住宅の耐震診断を応援します!」 https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/sumai/1021346/1026338/1018624.html ― 診断補助(2/3以内・上限4万円)/登録資格者要件・交付決定前不可の根拠
- 広島市「耐震診断資格者について」 https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/sumai/1021346/1026338/1018623.html ― 登録診断士名簿の探し方の根拠
- 広島市「住宅の耐震化を応援します!(耐震改修補助)」 https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/sumai/1021346/1026338/1018628.html ― 補助金の申請順序の根拠
- 東広島市「木造住宅耐震診断補助事業」 https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/toshi/4_1/8/index.html ― 東広島市の診断補助の根拠
費用の目安(民間情報源・あくまで相場の参考)
- 耐震診断費用の相場(木造住宅)と費用項目|マツドリフォーム https://matsudoreform.com/7158.html
- 木造住宅の耐震診断の基礎知識と費用・料金|ANEST https://www.anest.net/study/taishin-knowledde-fee.html
※ 制度・補助金の要件・金額・窓口は年度や時期によって変更される場合があります。最新情報は各公式ウェブサイトでご確認ください(確認日:2026年6月7日)。診断費用の相場は民間情報源にもとづく「目安」であり、実際の金額は診断士の見積りによります。

