広島市で旧耐震(昭和56年5月以前)の木造住宅にお住まいの方から、「耐震が気になる」「補助金が使えると聞いたが何から始めればよいか」というご相談をよくいただきます。本記事では広島市で利用できる耐震改修補助制度の全体像、申請の順序、注意点を、現場で診断と施工管理を担う有資格者の立場からやさしく整理します。令和7年度の公表数値をもとに、令和8年度版が公表され次第ご自身でご確認いただけるよう、出典URLを末尾にまとめています。
広島市の旧耐震木造住宅をめぐる現状
「旧耐震」とは何を指すのか
「旧耐震基準」とは、1981年(昭和56年)5月31日以前の建築確認で建てられた建物を指します。1981年6月1日に建築基準法の耐震基準が大きく見直されており、それ以前の木造住宅は現在の基準と比べて地震時の倒壊リスクが高いとされます。ご自宅が旧耐震かは、建築確認済証・登記簿・固定資産税の課税明細書などで判断できます。迷う場合は図面と築年を持参のうえ専門家にご相談ください。
広島市内の旧耐震住宅と地震リスク
広島市は 「広島市建築物耐震改修促進計画(第4期)」(令和8年度〜令和12年度)を2026年4月に公表し、市内の住宅耐震化率向上を引き続き計画的に進めています。瓦屋根の重量や筋交いの不足など当時の工法の特徴が残ったままのお宅も少なくありません。南海トラフ地震や活断層型の内陸直下型地震など、広島県でも地震リスクは継続的に指摘されており、耐震診断と必要に応じた改修は暮らしを守る現実的な備えです(市内の旧耐震木造住宅の正確な棟数は、上記計画本編で公表されています)。
「重い屋根」を軽くするという発想
旧耐震木造住宅の弱点としてしばしば挙げられるのが瓦屋根の重量です。屋根が重いほど地震時に建物の上部が大きく揺れ、柱や壁の負担が増します。そこで広がっているのが、瓦から板金屋根への葺き替えによる軽量化です。板金屋根はガルバリウム鋼板という現代の軽量金属屋根材で、瓦より重量が大幅に軽くなります。軽量化は耐震性能の改善に直結しやすく、補助金対象工事と組み合わせやすいテーマです(詳しくは別記事「瓦 屋根 重い 耐震」執筆予定)。
耐震改修に使える補助制度の全体像
旧耐震木造住宅の耐震改修に活用できる制度は、大きく3層です。
| 区分 | 主な制度 | 役割 |
|---|---|---|
| 県+市町村 | 広島県住宅耐震化促進支援制度(広島市は「広島市住宅耐震改修等補助事業」として運用) | 耐震診断・改修工事の費用補助(主軸) |
| 国 | 住宅省エネ2026キャンペーン(3省連携) | 断熱・省エネ改修と組み合わせ |
| 市町村独自 | 東広島市木造住宅耐震改修等事業補助金 等 | 耐震とあわせて使える場合あり |
(令和7年度実績ベース・令和8年度版は各自治体公式HPでご確認ください)
組み合わせて利用できる場合もありますが、併用不可や申請順序の制約もあります。最初に全体像を把握することが大切です。
主軸となる「広島市住宅耐震改修等補助事業」
広島市で耐震改修を検討する際、まず確認したいのが広島市住宅耐震改修等補助事業(広島県住宅耐震化促進支援制度を広島市が運用する形)です。
補助率・上限額(令和7年度実績)
広島市公式の令和7年度募集案内によると、補助率と上限額は次のとおりです。
| 補助区分 | 補助率 | 上限額 | 募集件数 |
|---|---|---|---|
| 耐震改修事業 | 工事費の 80% | 115万円/戸 | 年 9戸(現地建替えと合計) |
| 非現地建替え事業 | 除却工事費の 23% | 58万円/戸 | 年 2戸(除却と合計) |
| 除却事業 | 除却工事費の 23% | 58万円/戸 | 上記の内数 |
(令和7年度実績・出典は末尾「出典・参考」欄参照)
募集件数が年9戸と限られている点が最大の特徴です。令和7年度は4月14日〜25日が一斉受付期間で、応募多数の場合は抽選となりました。「来年でいい」と先送りすると、その年度の枠を逃す可能性があります。
加えて、耐震診断・改修設計にも別建ての補助があります。
- 耐震診断補助:診断費用の 2/3以内・上限4万円
- 耐震改修設計補助:設計費用(税抜)の 2/3以内・上限15万円
補助対象住宅と補助対象者の主な要件
広島市の補助対象住宅・対象者の主な要件は次のとおりです(令和7年度募集案内・原文ママを要約)。
- 対象建物:広島市内の 木造在来軸組構法または伝統的構法の住宅(ツーバイフォー・プレハブは対象外)
- 築年:1981年(昭和56年)5月31日以前に着工された一戸建住宅または併用住宅(住宅部分が延べ面積の2分の1以上)
- 階数:地階を除く 2階以下
- 耐震性:耐震診断による 上部構造評点が0.7未満(倒壊する可能性が高い)
- 対象者:補助対象事業完了後も広島県内に居住する方で、世帯の主たる生計維持者の前年所得が1,200万円以下、かつ 市税の滞納がないこと
- 二重交付の禁止:国や他自治体から、同一対象に補助金交付を受けていないこと
診断者の要件
広島市で本制度の対象となる耐震診断は、広島市木造住宅耐震診断資格者(市の名簿に登録された建築士)が実施する必要があります。登録には次の要件が公表されています(広島市公式HP・原文ママ)。
耐震診断資格者とは、補助対象建築物について耐震診断を実施する、市に登録された建築士を言います。…なお、資格者になるには、建築事務所を設立していることが必要です。 ※木造住宅耐震診断資格者は、一般財団法人日本建築防災協会が主催する「2012年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法」に基づく講習会を受講した方を対象とします。
一般のリフォーム業者・屋根業者ではこの要件を満たせないケースが多くあります。市の登録名簿は広島市公式HPからPDFで閲覧可能です。
申請書類のイメージ
主な必要書類は、住宅耐震改修等補助金交付申請書(様式第1号)、誓約書(様式第2号)、登記事項証明書や建築確認済証の写し、図面類、耐震診断結果報告書、見積書・工程表、工事業者の資格証明書類などです。様式は広島市公式HPからWord/PDFでダウンロードできます。令和8年度版は4月中下旬以降に公表される見込みのため、最新版を必ず広島市住宅政策課窓口またはHPでご確認ください。
あわせて検討したい関連制度
住宅省エネ2026キャンペーン(国・3省連携)
国土交通省・経済産業省・環境省の3省連携で実施されている住宅省エネ改修支援の総称です。次の4事業で構成されています。
- みらいエコ住宅2026事業(新築・既存住宅の断熱改修等)
- 先進的窓リノベ2026事業(高断熱窓改修・最大100万円/戸)
- 給湯省エネ2026事業(高効率給湯器設置)
- 賃貸集合給湯省エネ2026事業
対象工事の着手日は 令和7年(2025年)11月28日以降、交付申請の受付開始は 令和8年(2026年)3月30日/31日。各事業の予算上限に達し次第、受付終了となります。手続きは登録した工事施工者(住宅省エネ2026支援事業者)が代行する仕組みで、施主自身は申請できません。
家庭におけるエコ窓普及促進補助金(広島県・2026年新設)
広島県が2026年に新設した県独自の上乗せ補助です(原文ママ)。
国の先進的窓リノベ2026交付額の 1/3または90,000円のいずれか低い額(1住戸あたり補助上限:90,000円)
国の先進的窓リノベ2026事業の交付決定を受けたうえで県へ申請する流れです。受付は令和8年6月頃〜令和9年1月31日が予定されています。屋根葺き替えと同時に窓改修を計画する方は、活用余地があります。
東広島市の独自補助
東広島市にお住まいの方は 東広島市木造住宅耐震改修等事業補助金(東広島市木造住宅耐震改修等事業補助金交付要綱に基づく)が利用できます。広島県の枠組みに準じた運用ですが、具体的な補助率・上限額・令和8年度の独自加算については、**東広島市都市部建築指導課(電話082-420-0956)**にて最新情報をご確認ください。
(令和7年度実績・最新の併用ルールは各制度の公式HPでご確認ください。耐震改修補助金との併用可否は制度ごとに異なるため、申請前に窓口で必ずご確認ください)
【ご案内】施工技術と会社概要もあわせてご覧いただけます
- 板金屋根の施工技術紹介 ― 瓦から板金屋根への葺き替え工程を解説
- 合同会社インハートの会社概要 ― 代表者の資格・経歴と、当社の考え方
補助金申請から工事完了までの流れ
補助金活用で 最も大切なのは申請の順序です。順序を誤ると補助対象外になります。
標準的な流れ
「交付決定通知 → 契約 → 着工」を絶対に守る
広島市公式の注意事項(原文ママ)です。
本事業を利用する場合、市から送付する 補助金交付決定通知書を受理した後でなければ、補助対象事業の契約や工事を行うことはできません。
東広島市の交付要綱第7条も同趣旨で、交付決定通知を受け取る前に契約・着工をした場合、補助金は一切交付されません(両市共通)。「早く工事を始めたい」というお気持ちはよくわかりますが、ここだけは必ず順序を守ってください。当社では交付決定までの期間も、図面確認や部材選定のご相談で伴走します。
よくある落とし穴と注意点
現場で特に多い3点をお伝えします。
「業者主導の急かし」に注意
訪販リフォーム業者のなかには「今すぐ契約を」と急かす例があります。補助金は急いで契約しても上限額は変わりません。むしろ§5の順序を踏み外すと補助対象外になる恐れがあります。一度持ち帰り、ご家族とも相談されてからご判断ください。
年度予算と募集枠の上限
§3で触れたとおり、広島市の耐震改修補助は令和7年度実績で年9戸という限られた枠で運用されています。応募多数の場合は抽選です。例年4月中下旬から一斉受付が始まるため、前年度の早い時期から準備し、4月中下旬の発表に合わせて申請できる状態にしておくのが安全です。
確定申告での扱い(税制も延長されました)
工事完了後の確定申告で 耐震改修促進税制による所得税控除や固定資産税減額が受けられる場合があります。令和8年度税制改正で、所得税の住宅耐震改修特別控除は令和10年(2028年)12月31日まで、固定資産税の減額措置は令和10年(2028年)3月31日まで延長されました。控除対象金額の計算には補助金額の調整が関わるため、税理士・税務署にご相談ください。
合同会社インハートのサポート体制
「制度はわかったが自分一人では進める自信がない」と感じられた方もいらっしゃるはずです。当社では有資格者が一貫してお手伝いします。
有資格者が一貫担当
二級建築士・二級施工管理技士・耐震診断資格者(2027年2月以降取得予定)の3資格を備えた有資格者が一貫担当します。初回相談・現地調査・耐震診断・改修計画・施工管理・補助金書類の伴走まで、窓口を分けずに一人がお相手します(創業期は代表自身が担当)。慣れない申請書類の準備もご一緒に。
「売り込まない専門家」というスタンス
初回相談・現地調査でその場の契約はお願いしません。「一度持ち帰って、ご家族とも相談されてから」を基本に、安心していただける関わり方を大切にしています。
屋根の軽量化を組み合わせた改修プラン
耐震改修は屋根の軽量化を組み合わせるとコスト対効果が高くなるケースが多くあります。当社は前職で板金屋根の施工に長く関わった経験を踏まえ、軽量化を軸にしたプランをご提案します。
まずは無料の現地相談から
耐震改修補助金は、制度を「知っているか」「申請順序を守れるか」で最終的な自己負担額が大きく変わります。ご自宅とご家族のお考えに合わせて、納得のいく形を一緒に考えさせてください。
無料の現地相談を承っています
- 有資格者がご自宅を拝見しながら制度の使い方と概算をご説明します。
- その場での契約はお願いしません。ご家族とご相談のうえ、ゆっくりご判断ください。
お電話の場合:050-1725-9907(平日 9:00〜18:00 / 土曜 9:00〜17:00 / 日祝休)
まとめ
広島市の旧耐震木造住宅の耐震改修は、広島市住宅耐震改修等補助事業(工事費の80%・上限115万円/戸)を主軸に、国の住宅省エネ2026キャンペーンや広島県のエコ窓補助を組み合わせて進めるのが基本です。最大のポイントは「交付決定通知 → 契約 → 着工」の順序を守ること。令和7年度の市内枠は年9戸と限られているため、早めに準備して年度初頭の募集に備えるのが安全です。制度は年度ごとに見直されるため、申請年度の公式情報を必ずご確認ください。迷われたら、有資格者の無料相談からお気軽にどうぞ。
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- 合同会社インハートの会社概要
著者プロフィール
綾野 利郎(合同会社インハート 代表)
広島市拠点。二級建築士・二級施工管理技士。耐震診断資格者(2027年2月以降取得予定)。旧耐震木造住宅の耐震改修(瓦→板金屋根の葺き替えによる軽量化)を主軸に、広島市・東広島市で活動。「売り込まない専門家」として、有資格者による一貫担当を信条としています。
出典・参考(2026-05-19 確認)
広島県
広島市
- 住宅の耐震化を応援します!|広島市公式ウェブサイト
- 住宅の耐震診断を応援します!|広島市公式ウェブサイト
- 住宅の耐震改修設計を応援します! – 広島市
- 耐震診断資格者について|広島市公式ウェブサイト
- 広島市建築物耐震改修促進計画(第4期)|広島市公式ウェブサイト
- 住宅耐震改修証明等の発行について – 広島市
東広島市
国の制度
税制
※ 補助金制度は年度ごとに予算上限・要件・申請様式が更新されます。本記事に記載の数値・要件は 令和7年度公表値ベース(確認日:2026-05-19)であり、申請時には広島市・広島県・東広島市・国の公式HPおよび窓口で最新情報をご確認ください。令和8年度(2026年度)版の広島市住宅耐震改修等補助事業の募集案内は、例年4月中下旬に公表されています。
