「屋根が浮いていますよ」と訪問業者に言われたら|点検商法の対処法を広島の二級建築士が解説

「屋根が浮いてますよ」と訪ねてきた業者に、玄関先で住人が落ち着いて応対しているイラスト。広島市・東広島市の屋根の点検商法・訪問販売への対処のイメージ

※この記事は、合同会社インハート 代表(二級建築士・二級施工管理技士)が解説しています。相談件数などの数値は 2026年7月時点 に確認したものです。個別のトラブルの対処は、お住まいの消費生活センター等でご確認ください。

「近くで工事をしているのですが、お宅の屋根が浮いているのが見えまして」——ある日突然、こんな訪問を受けたことはありませんか。広島市や東広島市でも、屋根の不具合を指摘する訪問をきっかけにしたご相談は珍しくありません。

自分では屋根の上を確認できないだけに、「本当だろうか」「放っておいて大丈夫だろうか」と不安になるのは自然なことです。ただ、この「近所の工事のついでに屋根の不具合を教えてくれる」という入り方は、国民生活センターが注意を呼びかけている「点検商法」の典型的な勧誘トークと一致します。

この記事では、点検商法の手口とデータ、訪問を受けたその場での対応、契約してしまった後の解約手段(クーリング・オフ)、そして「本当に屋根が傷んでいるのか」を確かめる方法まで、広島で屋根と耐震の仕事をしている二級建築士の立場から整理します。

✅ この記事の結論(先にお伝えします)

  • 突然の訪問で屋根の不具合を指摘されても、その場で契約しない・屋根に登らせない。この2つを守るだけで、トラブルの大半は防げます。
  • 屋根工事の点検商法に関する相談は、2018年度923件→2022年度2,885件と5年で約3倍に増え、契約当事者の8割超が60歳以上です(国民生活センター)。
  • 契約してしまっても、契約書面を受け取った日を含めて8日間はクーリング・オフ(無条件解約)が可能です。工事が終わった後でも解約できる場合があります。
  • 困ったときの相談先は消費者ホットライン188、広島市消費生活センター(082-225-3300)、東広島市消費生活センター(平日082-421-7189)。
  • 「指摘が本当かどうか」が不安なときは、利害関係のない有資格者のセカンドオピニオンを。売り込みはいたしません。(2026年7月時点)

目次

屋根の点検商法は、どのくらい増えているのですか?(データ)

まず、思い込みではなくデータで確認します。国民生活センター(全国の消費生活相談情報を集約する独立行政法人)は2023年10月、「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」という注意喚起を公表しました。

年度屋根工事の点検商法の相談件数(全国)
2018年度923件
2019年度1,157件
2020年度1,824件
2021年度2,352件
2022年度2,885件

(出典:国民生活センター 2023年10月11日公表資料。2026年7月16日確認)

5年間で約3倍です。しかも、この相談の契約当事者は8割超が60歳以上。日中に在宅していることが多く、屋根の上を自分で確認しにくい方が狙われやすい構図です。

屋根に限らない「点検商法」全体では、相談件数は2022年度8,166件、2023年度12,550件、2024年度は19,215件と、さらに勢いが増しています(国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」集計。2026年7月16日確認)。給湯器や水回りも含めた「無料点検」を入口にする手口が、全国的に広がっている状況です。

広島県内も例外ではありません。だからこそ、手口を先に知っておくことが最大の防御になります。


典型的な勧誘トークには、どんなものがありますか?

国民生活センターの公表資料では、実際の相談に共通する勧誘トークが紹介されています。次のような言葉が出てきたら、一度立ち止まってください。

  • 近くで工事をしていて、お宅の屋根が壊れている(浮いている・ずれている)のが見えた
  • 無料で点検してあげます
  • 「このままだと雨漏りしますよ
  • 保険金を使えば自己負担なしで直せますよ

ポイントは、どのトークも「親切の形で近づき、不安で決断を急がせる」構造になっていることです。隣の屋根の細かな不具合が、地上や隣家の足場から偶然「見える」ことは、実際にはほとんどありません。

「保険金で無料で直せる」という誘い文句には、保険金の対象にならない工事まで契約させられたり、虚偽の申請に加担させられたりする別のリスクがあります。火災保険で屋根修理ができる条件と注意点は、雨漏り修理と火災保険の記事で詳しく解説しています。

なお、公平のために書いておくと、訪問してくる業者がすべて悪質というわけではありません。近所で本当に工事をしていて、足場設置の挨拶に来る施工店もあります。問題は「訪問そのもの」ではなく、その場で点検や契約を迫る流れです。だからこそ、次の「その場の対応」が大事になります。


訪問を受けたその場では、どう対応すればいいですか?

結論はシンプルで、「確認はする、決断はしない」です。具体的には次のように分かれます。

その場でして良いことその場で避けたいこと
会社名・担当者名・所在地・連絡先を聞き、名刺をもらうその場で点検(屋根に登ること)を許可する
「どこから、何が見えたのか」を具体的に質問するその日のうちに契約書・申込書にサインする
「必要なら自分で業者を手配します」と伝えて断る「今日契約すれば値引きします」に応じる
玄関を開けずにインターホン越しで対応する現金の前払い・手付金を渡す
不安が残るなら家族や消費生活センターに相談する「近所の○○さんもやった」という話を確認せずに信じる

とくに重要なのが「屋根に登らせない」ことです。国民生活センターには、「点検中に業者が屋根を壊し、その写真を見せて契約を迫られた」という趣旨の相談も寄せられています(国民生活センター見守り情報「点検中に屋根を壊された? 点検商法に注意」)。点検を許可した瞬間に、屋根の状態の”証拠”は相手が握ることになります。

また、法律面の知識も味方になります。特定商取引法では、訪問販売の業者は勧誘に先立って会社名・氏名と「勧誘が目的であること」を告げる義務があり、「契約しません」と断った相手への再勧誘は禁止されています(消費者庁 特定商取引法ガイド)。「けっこうです。必要なら自分で手配します」と一度はっきり伝えれば、それ以上の勧誘を続けること自体がルール違反です。

なぜ「今日契約すれば安くなる」と急がせるのか(構造の話)
訪問営業で成約を急がせるのは、他社と比較されると成立しにくい価格だから、という構造的な理由があります。たとえば瓦屋根から板金屋根への葺き替えは、一般的な戸建てで140万〜200万円程度が相場の目安です(瓦屋根の葺き替え費用の記事で内訳を解説)。相場を知り、2〜3社の見積もりを並べるだけで、極端な価格は自然にあぶり出されます。「今日だけの値引き」は、比較させないための仕掛けと考えて差し支えありません。

広島市・東広島市で「訪問業者に屋根の不具合を指摘されたが、本当なのか分からない」という方へ。インハートでは、利害関係のない立場で屋根の状態を確認するセカンドオピニオン・現地相談を承っています。売り込みはいたしません。相談だけでも歓迎です。

  • お電話:050-1725-9907(平日9-18 / 土9-17 / 日祝休)
  • お問い合わせフォーム / LINE公式(友だち追加 `https://lin.ee/89dvnfL`)

契約してしまいました。解約できますか?(クーリング・オフ)

できる場合が多いです。あわてて泣き寝入りする必要はありません。

訪問販売で契約した場合、法定の契約書面を受け取った日を含めて8日間は、理由を問わず無条件で契約を解除できます。これがクーリング・オフです(国民生活センター「クーリング・オフ」。2026年7月16日確認)。

  • 通知は書面(はがき等)または電磁的記録(メール等)で行います。はがきの場合は両面をコピーして保管し、「特定記録郵便」など発送の記録が残る方法で送るのが定石です。
  • 効力は発信した日に生じます。8日目にポストに投函すれば間に合います。
  • クレジット契約を組んだ場合は、クレジット会社にも同時に通知します。
  • 工事がすでに終わっていても、クーリング・オフできる場合があります。「もう工事されたから」とあきらめる前に相談してください。

8日間を過ぎてしまった場合も、契約書面に不備があれば期間が進行していなかったと扱われることや、事実と異なる説明(不実告知)を理由に契約を取り消せることがあります。期間経過を理由に自己判断で終わりにせず、まず消費生活センターに相談するのが正解です。

相談先連絡先受付
消費者ホットライン(全国共通)188(いやや!)最寄りの消費生活センターへ案内
広島市消費生活センター082-225-3300(相談専用)10時〜18時(火曜・日曜・祝休日・年末年始は休み)
東広島市消費生活センター082-421-7189(平日)平日9時〜17時(土日祝は188へ)

(2026年7月16日確認。受付時間等は変更される場合があります)


本当に屋根が傷んでいるかは、どう確かめればいいですか?

訪問業者の指摘が事実である可能性も、ゼロではありません。「指摘は疑う、屋根の状態は別途確かめる」が正しい順番です。

自分でできる確認は次の範囲で十分です。ご自身で屋根に登るのは、それ自体が転落のリスクになるためおすすめしません

  1. 地上や2階の窓から見える範囲を、双眼鏡やスマホのズームで撮影してみる(瓦の明らかなズレ・割れ・棟の歪み)
  2. 室内側のサインを確認する(天井の雨染み、押し入れのカビ臭、小屋裏の水跡)
  3. 築年数と屋根材を思い出す(築30年超の瓦屋根なら、漆喰の劣化や瓦のズレが経年で生じていること自体は珍しくない)

大事なのは、瓦が多少ずれていたとしても、即座に大きな工事が必要とは限らないことです。漆喰の補修や部分的な差し替えなど数万円台の手当てで済むケースもあれば、下地まで傷んでいて葺き替えを検討すべきケースもあります。この見極めこそ専門家の仕事で、写真つきの報告書を出してくれる業者に、地上・屋根上の状態を確認してもらうのが確実です。

依頼する業者を選ぶ基準——建設業許可や資格の確認、見積書の内訳、施工実績——は信頼できる業者の見分け方の記事にまとめています。訪問業者に指摘された内容をそのまま伝えて、別の業者に「この指摘は本当か」を確認してもらう(相見積もり・セカンドオピニオン)のが、もっとも堅実な進め方です。

大きな地震のあとは、被災地から離れた地域でも同じ手口の訪問が増えます。その背景と、広島で先に確認しておきたいことは、広島の活断層「30年確率 不明」とは?令和8年熊本地震から考える木造住宅の備え【広島市・東広島市】にまとめています。


現場から:後悔したケースと、納得したケース

岡田さん(仮名・広島市・70代)— その日のうちに契約、家族の気づきで解約
「瓦がずれている。放っておくと雨漏りする」と訪問業者に言われ、不安のままその日に約180万円の葺き替え契約にサイン。週末に帰省した娘さんが契約書を見て消費生活センターに相談し、8日以内だったためクーリング・オフで解約できました。後日、地元業者に確認してもらうと、必要だったのは棟の漆喰補修のみ。「屋根のことは分からないから、と言われるがままだった」と振り返ります。
——一人で判断せず、契約書を家族に見せたことがすべてでした。

三浦さん(仮名・東広島市・60代)— 指摘を鵜呑みにせず、確認してから直した
「屋根材が浮いている」と訪問業者に指摘されたものの、その場では返事をせず名刺だけ受け取りました。後日、別の業者に状態確認を依頼したところ、強風でスレートが1枚浮いていたのは事実。ただし必要な工事は部分補修で、提示された「全面カバー工事」ではありませんでした。数万円台の補修で完了し、「指摘は当たっていたが、工事の規模は別の話だった」という結果に。指摘の真偽と工事の要否は、分けて確かめる——これが結論です。


訪問点検には、良い面はないのですか?(メリットと注意点)

フェアに整理しておきます。

訪問点検のメリット(可能性)注意点・リスク
自分では気づけない不具合を知るきっかけになることがあるその場では指摘の真偽を確認する手段がない
台風・強風の後など、実際に補修が必要なタイミングと重なることもある点検を許可すると、屋根の状態の”証拠写真”を相手だけが持つことになる
まっとうな地元業者が近隣工事の挨拶に来ている場合もある「無料」の点検費用は、最終的に工事価格へ上乗せされる構造になりやすい
契約当事者の8割超が60歳以上。判断を急がせる話法が使われやすい

まとめると、「訪問をきっかけに屋根を気にすること自体は悪くない。ただし確認と契約は、訪問者とは切り離して自分のペースで行う」——これが答えです。


よくある質問(FAQ)

Q. 「屋根が浮いている」と訪問業者に言われました。本当でしょうか?
A. その場で真偽を判断する方法はありません。地上から他人の屋根の細かな不具合が偶然見えることはほとんどなく、国民生活センターが公表する点検商法の典型トークとも一致します。まず名刺を受け取って引き取ってもらい、気になる場合は別の業者や有資格者に状態確認を依頼してください。指摘が事実でも、必要な工事の規模は別途見極めるべきです。

Q. 屋根の無料点検は受けてもいいですか?
A. 突然訪問してきた業者に、その場で屋根に登ることを許可するのは避けてください。点検中に屋根を壊されたという相談が国民生活センターに寄せられています。点検自体が必要だと感じたら、自分で選んだ業者に依頼し、写真つきの報告書を求めるのが確実です。

Q. 契約してしまいました。もう解約できませんか?
A. 訪問販売の契約は、法定の契約書面を受け取った日を含めて8日間、無条件で解除(クーリング・オフ)できます。通知は、はがき等の書面かメール等の電磁的記録で行い、発信した日に効力が生じます。工事完了後でも解約できる場合があり、8日間を過ぎていても契約書面の不備や事実と異なる説明を理由に取り消せることがあります。あきらめる前に消費者ホットライン188へ相談してください。

Q. 広島市・東広島市の相談窓口はどこですか?
A. 広島市は広島市消費生活センター(相談専用082-225-3300、10時〜18時、火曜・日曜・祝休日休み)、東広島市は東広島市消費生活センター(平日082-421-7189、9時〜17時)です。全国共通の消費者ホットライン188に電話すると、最寄りの窓口につながります(2026年7月時点)。

Q. 断ったのに何度も来ます。どうすればいいですか?
A. 特定商取引法では、契約しないと意思表示をした相手への再勧誘は禁止されています。「契約しません」とはっきり伝えたうえで訪問が続く場合は、業者名・日時を記録して消費生活センターへ相談してください。インターホン越しの対応と「必要なら自分で業者を手配します」の一言が、もっとも角が立たない断り方です。


大きな地震のあとには、市町が実施する被災建築物応急危険度判定の判定士が訪れることがあります。判定士は費用を請求せず、その場で工事契約を勧誘することもありません。見分け方は地震のあと、家に貼られる赤・黄・緑の紙は何?被災建築物応急危険度判定の見方【広島市・東広島市】で解説しています。

まとめ

  • 「近くで工事をしていて屋根の不具合が見えた」という訪問は、点検商法の典型トークです。相談件数は屋根工事だけで5年で約3倍、点検商法全体では2024年度19,215件に達しています。
  • その場の対応は「確認はする、決断はしない」。屋根に登らせない・その日に契約しない、この2つでトラブルの大半は防げます。
  • 契約してしまっても、8日間のクーリング・オフがあります。工事後でも解約できる場合があるので、消費者ホットライン188や広島市・東広島市の消費生活センターへ。
  • 屋根の状態そのものが気になるときは、利害関係のない専門家に、写真つきで確認してもらうのが確実です。

広島市・東広島市で、「訪問業者にこう言われたが本当か」「うちの屋根は実際どうなのか」を確かめたい方へ。現地を拝見して、指摘の真偽と、必要な手当ての範囲を写真つきでご説明します。工事が不要ならその旨をお伝えするだけです。売り込みはいたしません。相談だけでも歓迎です。

  • お電話:050-1725-9907(平日9-18 / 土9-17 / 日祝休)
  • お問い合わせフォーム / LINE公式(友だち追加 `https://lin.ee/89dvnfL`)

出典(2026年7月時点で確認)

  • 国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています−典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!−」(2023年10月11日公表) — 屋根工事の点検商法の相談件数推移(2018年度923件→2022年度2,885件)、契約当事者の8割超が60歳以上、典型的な勧誘トーク。 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20231011_1.html
  • 国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法(各種相談の件数や傾向)」 — 点検商法の相談件数(2022年度8,166件・2023年度12,550件・2024年度19,215件)。 https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/reformtenken.html
  • 国民生活センター「クーリング・オフ(テーマ別特集)」 — 訪問販売8日間・書面/電磁的記録による通知・発信日に効力・工事完了後の扱い。 https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html
  • 消費者庁「特定商取引法ガイド」 — 訪問販売における氏名等の明示義務・再勧誘の禁止。 https://www.no-trouble.caa.go.jp/
  • 広島市「広島市消費生活センターのご案内」 — 相談専用電話082-225-3300・受付時間・休館日。 https://www.city.hiroshima.lg.jp/living/soudan/1006026/1003215.html
  • 東広島市「東広島市消費生活センター相談窓口」 — 平日082-421-7189・受付時間・土日祝は188。 https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/seikatsukankyo/14/11/sodan/31918.html

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の契約トラブルの解決は、お住まいの自治体の消費生活センター(消費者ホットライン188)にご相談ください。屋根の状態の個別判断は、現地を確認した有資格者にご相談ください。


著者・運営者情報

綾野 利郎(合同会社インハート 代表) 二級建築士・二級施工管理技士。広島市・東広島市で、旧耐震木造住宅の瓦→板金屋根への葺き替えによる耐震改修と、住宅用太陽光発電を手がける。診断から施工管理まで有資格者が一貫して担当し、「売り込まない専門家」として住まいの相談に対応している。


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この記事を書いた人

合同会社インハート 代表。二級建築士・二級施工管理技士。広島市・東広島市で、旧耐震木造住宅の屋根葺き替えによる耐震改修と、住宅用太陽光発電を手がける。診断から施工管理まで有資格者が一貫して担当し、「売り込まない専門家」として住まいの相談に対応している。

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