屋根の葺き替えに「確認申請」は必要になった?2025年の建築基準法改正を広島の二級建築士が解説

2025年の建築基準法改正と屋根の葺き替え・確認申請の要否を二級建築士が解説する記事のアイキャッチ

最終更新:2026年6月19日|執筆:綾野 利郎(合同会社インハート 代表・二級建築士/二級施工管理技士)。制度・補助金の数値は2026年6月時点のものです。最新の内容は必ず各公式ページでご確認ください。

「2025年に建築基準法が変わって、屋根の葺き替えにも建築確認申請が必要になったらしい」——最近、広島でもこうしたお問い合わせをいただくようになりました。

結論からお伝えすると、多くの住宅では、屋根の葺き替えに確認申請は必要ありません。ただし、一部に「必要になるケース」もあります。この線引きが正しく伝わっておらず、不安だけが先行しているように感じます。

この記事では、広島で旧耐震住宅の屋根葺き替え・耐震改修を手がける二級建築士の立場から、何がどう変わったのか/屋根の葺き替えはどう扱われるのかを、国の公式な取り扱いに沿って整理します。

この記事の結論
  • 2025年4月の改正で「4号特例」が縮小され、木造2階建ても大規模な修繕・模様替えでは確認申請の対象になりうる区分(新2号建築物)になりました。
  • ただし国の取り扱い通知により、屋根ふき材だけの葺き替え・カバー工法は「大規模の修繕・模様替えに該当しない」=確認申請は不要です(国土交通省 国住指第355号)。
  • 瓦から金属屋根への葺き替え(屋根の軽量化)も、屋根材の取り替えであれば確認申請は不要です。
  • 「必要になる」のは、屋根材だけでなく下地・構造材(野地板・垂木など)を建物の過半にわたって取り替えるような場合です。
  • 確認申請が不要でも、工事自体は建築基準法に適合させる必要があります。「申請不要=何をしてもよい」ではありません。(2026年6月時点)
  • 確認申請が不要でも、石綿(アスベスト)の事前調査は原則として工事の規模・種類にかかわらず必要です。改修工事の請負金額が100万円以上なら、元請事業者による事前調査結果の報告も着工前に必要になります。
目次

そもそも、2025年4月に何が変わった?(4号特例の縮小)

2025年(令和7年)4月1日に、改正建築基準法が施行されました。住宅リフォームの文脈でよく話題になるのが、いわゆる「4号特例の縮小」です。

これまで、木造2階建てなどの小規模な住宅は「4号建築物」と呼ばれ、建築確認の際に構造などの審査が一部省略されてきました(これが4号特例)。改正後はこの区分が見直され、木造2階建て住宅は「新2号建築物」に再分類されます(木造平屋でも延床200㎡超は同様)。

新2号建築物では、新築だけでなく「大規模の修繕・模様替え」を行うときにも建築確認申請の対象になりうる——ここが、「リフォームにも申請が必要になった」と言われている部分です。

「大規模の修繕・模様替え」とは
建築基準法では、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の一種以上を、過半(1/2超)にわたって修繕・模様替えすることを指します(法第2条第14号・第15号)。「屋根」も主要構造部に含まれるため、「屋根=即・申請必要」と誤解されやすいのです。

屋根の葺き替えに、確認申請は必要になった?——結論は「原則 不要」

ここが本題です。屋根は主要構造部に含まれるので、文字どおり読むと「屋根の葺き替え=大規模の修繕=申請必要」と思えてしまいます。

しかし国土交通省はこの点について、屋根ふき材だけの改修(葺き替え)やカバー工法は、大規模の修繕・模様替えには該当しないという取り扱いを示しています。つまり、確認申請は不要です。

根拠となるのは、国土交通省住宅局の技術的助言です。

  • もともと国住指第595号(令和5年/2023年3月31日)で、「屋根ふき材のみの改修は大規模の修繕・模様替えに該当しないものとして取り扱って差し支えない」とされました。
  • これが国住指第355号(令和6年/2024年2月8日)「屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」に引き継がれ、屋根に加えて外壁の改修まで対象が広がりました(旧595号は廃止)。

要するに、「2025年の法改正で、屋根の葺き替えに確認申請が必要になった」というのは誤解です。屋根材の取り替えやカバー工法そのものは、これまでどおり申請なしで行えます。

では「申請が必要になる」のは、どんなケース?

例外として確認申請が必要になりうるのは、屋根材の取り替えにとどまらず、屋根の下地や構造材まで大きく手を入れる場合です。具体的には、次のような工事です。

  • 野地板・垂木・小屋組など、屋根の構造部分を、建物の過半にわたって取り替える
  • 屋根の改修にあわせて、壁・柱・はりなど他の主要構造部も過半にわたって修繕・模様替えする

いずれも文字どおり「大規模」な工事に踏み込むケースです。一般的な住宅で、傷んだ屋根材を新しくする(瓦→金属屋根など)だけの葺き替えであれば、ここには当たらないのが通常です。

「下地が傷んでいる旧耐震住宅」は専門家の判断が要る領域
築年数の経った旧耐震の住宅では、屋根材をめくってみて初めて野地板(下地)の傷みが見つかることがあります。下地をどこまで直すかで工事の規模も、まれに手続きの要否も変わります。図面と現地の両方を見て判断できる有資格者に相談しておくと安心です。

瓦から金属屋根への「軽量化」も、確認申請は不要?

広島の旧耐震住宅でご相談の多い「重い瓦から軽い金属屋根(ガルバリウム鋼板など)への葺き替え」も、屋根材の取り替えにあたります。したがって、確認申請は原則として不要です。

屋根を軽くすることは、地震のときに建物にかかる力を小さくする、耐震改修としても効果のある工事です(詳しくは屋根の軽量化はなぜ耐震に効くのかで解説しています)。手続きが重くなったわけではないので、「法改正で面倒になったから」と先延ばしにする理由はありません。

費用や工期の目安は瓦屋根の葺き替え 費用・流れ・工期に、補助金については広島市の木造住宅 耐震改修 補助金にまとめています。

確認申請が不要でも、「建築基準法を守る」必要はあります

ここは誤解されやすいので、専門家として一言添えておきます。

確認申請が不要なことと、何をしてもよいことは別です。確認申請の対象でない工事でも、建物そのものは建築基準法の基準を満たしていなければなりません。屋根材の選び方、固定の方法、雨仕舞いなど、施工の質はそのまま住まいの安全と寿命に直結します。

だからこそ、屋根は「申請がいるか・いらないか」だけで判断せず、構造と施工の両方を分かっている業者に任せることが大切だと考えています。

確認申請とは別に、着工前に必要な手続きがあります——石綿の事前調査

「確認申請は不要」と聞くと、着工前の手続きは何もない、と受け取られることがあります。そこは分けてお伝えしておきます。確認申請の手続きが重くなっていないことと、着工前の手続きがゼロであることは別です。

石綿(アスベスト)の事前調査は、建築物を改修する工事について、「原則、工事の規模・種類にかかわらず」元請事業者に義務づけられています(厚生労働省 小規模工事等の着工前に必要な手続きについて、2026年8月8日確認)。令和5年10月1日以降に着工する工事では、調査は「建築物石綿含有建材調査者」等の有資格者が行います。

さらに、改修工事の請負金額が100万円以上になる場合は、石綿が見つからなかった場合も含めて、元請事業者が着工前に事前調査結果を報告する必要があります。ここでいう請負金額は、事前調査費を除き、材料費も含めた作業全体の請負代金に消費税を加えた金額です(環境省 石綿事前調査結果の報告について、2026年8月8日確認)。屋根の葺き替えはこの金額帯に入ることが多い工事です。確認申請の要否とは別に、この手続きが見積・工程に入っているかを確認すると、追加費用や着工時期の条件を事前に把握できます。

費用や工程のなかでの位置づけは瓦屋根の葺き替え費用はいくら?、工法ごとの違いは屋根のカバー工法と葺き替え、どちらを選ぶ?で整理しています。

将来、太陽光パネルを載せたい場合の補足

「いずれ屋根に太陽光パネルを載せたい」というご相談もよくいただきます。パネルは屋根に重さが加わるため、屋根を軽くしておくと建物全体の負担に余裕が生まれ、後々の選択肢が広がります。瓦よりも金属屋根のほうがパネルとの相性がよいのも、こうした理由からです。

具体的な可否や費用は屋根とお住まいの状態によりますので、屋根の葺き替えを検討する段階で、あわせてご相談いただくのがおすすめです。

よくある質問(FAQ)

Q. 2025年4月以降、屋根の葺き替えには確認申請が必要ですか?

A. 屋根材だけの葺き替え、またはカバー工法であれば、確認申請は不要です。国土交通省の取り扱い(国住指第355号)で、これらは「大規模の修繕・模様替え」に該当しないと整理されています。(2026年6月時点)

Q. 瓦から金属屋根に替える「軽量化」も申請は不要ですか?

A. はい。屋根材を取り替える工事であれば、瓦→金属屋根への葺き替えも確認申請は不要です。屋根を軽くすることは耐震面でも効果があります。

Q. どんな場合に確認申請が必要になりますか?

A. 屋根材だけでなく、野地板・垂木などの構造材を建物の過半にわたって取り替えるなど、「大規模の修繕・模様替え」に当たる工事の場合です。一般的な葺き替えでは通常該当しません。

Q. 確認申請が不要なら、どんな工事でも問題ないということですか?

A. いいえ。確認申請の対象外でも、工事は建築基準法に適合している必要があります。申請の有無にかかわらず、施工の質を確認できる業者選びが大切です。

Q. うちの屋根が申請の要る工事か分かりません。どうすれば?

A. 図面と現地の両方を確認すれば判断できます。広島市・東広島市であれば、現地のご相談を承っています(売り込みはいたしません)。

まとめ

  • 2025年4月の改正で「4号特例」が縮小され、木造2階建ても大規模の修繕・模様替えで確認申請の対象になりうる区分になった。
  • ただし屋根ふき材だけの葺き替え・カバー工法は確認申請が不要(国交省 国住指第355号)。瓦→金属屋根の軽量化も同様。
  • 必要になるのは、下地・構造材を過半にわたって取り替えるような大規模工事の場合。
  • 確認申請が不要でも、基準法に適合した施工は必要。手続きの有無より「正しく直せるか」で業者を選ぶ。

法改正のニュースで不安になりやすいテーマですが、屋根の葺き替えそのものが急に難しくなったわけではありません。広島で旧耐震の屋根や耐震改修をご検討の方は、「いまの屋根がどんな工事に当たるのか」も含めて、お気軽にご相談ください。

屋根のこと、まずはご相談ください。
合同会社インハート(広島市・東広島市)では、二級建築士・二級施工管理技士の代表が、現地のご相談から対応しています。売り込みはいたしません。お問い合わせはお問い合わせフォーム、またはお電話(050-1725-9907/平日9:00〜18:00・土9:00〜17:00・日祝休)から。

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出典・参考(2026-06-19 確認)

国・公的機関(一次情報)

自治体

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の工事が確認申請の対象になるかどうかは、建物の状態・工事の範囲によって異なります。最終的な判断は、所管行政庁または有資格者にご確認ください。

著者・運営者情報

綾野 利郎(合同会社インハート 代表)
二級建築士・二級施工管理技士。広島市・東広島市で、旧耐震木造住宅の瓦→板金屋根への葺き替えによる耐震改修と、住宅用太陽光発電を手がける。診断から施工管理まで有資格者が一貫して担当し、「売り込まない専門家」として住まいの相談に対応している。


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この記事を書いた人

合同会社インハート 代表。二級建築士・二級施工管理技士。広島市・東広島市で、旧耐震木造住宅の屋根葺き替えによる耐震改修と、住宅用太陽光発電を手がける。診断から施工管理まで有資格者が一貫して担当し、「売り込まない専門家」として住まいの相談に対応している。

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