※この記事は、合同会社インハート 代表(二級建築士・二級施工管理技士)が解説しています。制度・補助金の数値は 2026年9月時点 のもので、最新は必ず公式ページでご確認ください。個別の税額は市の課税部門、法律問題は弁護士・司法書士へご確認ください。
✅ この記事の結論(先にお伝えします)
- 空き家を当面持ち続けると決めたなら、「誰が見るか」「どこを見るか」「次はいつ見るか」の3つを決めておくと、管理が続きます。
- 広島市の公式ガイドは、半年〜1年に一度のしっかりした点検と、大雨・台風・地震のあとは必ず点検することを案内しています。
- 見る場所は、屋根・軒裏、雨樋、室内の雨染み、換気、施錠、庭木、ポスト、敷地まわり。屋根には上がらないでください。地上からと室内から、雨樋の外れや室内のシミなど、異変の手がかりを確認できます。
- 「空き家にすると固定資産税が6倍」は、そのままでは正確ではありません。住宅用地特例は土地の課税標準の特例で、家屋分は対象外です。詳しくは記事後半で分解します。
- 自分で管理するのが難しい場合は、民間の管理サービスや公的な相談窓口があります。
- 点検で気になるところが出てきたときに、屋根の葺き替えや耐震改修のご相談をお受けしています(2026年9月時点)。
この記事は、相続や転居をきっかけに空き家となった家について、売る・貸す・解体するといった方針をまだ決めず、当面保有する方を対象にしています。
方針をすぐに決めなくても、保有している間の管理は続ける必要があります。建物の変化には、地上や室内から気づけるものと、原因や程度を専門家に確認した方がよいものがあります。
そこでこの記事では、当面持ち続ける方が、何を・どこを・どのくらいの間隔で見ればよいかを、広島市の公式資料に沿って整理します。あわせて、「空き家の固定資産税は6倍」という言い方を、条文に沿って確認します。
相続した直後で「まず何をすればいいか」からお探しの方は、相続した実家が空き家に——何から始めればいい?を先にお読みください。この記事は、その次の「持ち続けている間、どう見ておくか」を扱います。
半年〜1年ごとに見ておきたい場所はどこですか?
広島市が発行している「空き家のガイド」(令和8年3月)は、所有者が自分で行う管理のポイントをまとめています。ガイドは「半年〜1年に一度は、しっかりと点検」、そして「大雨や台風、地震のあとは必ず点検」としています。
点検項目として挙げられているのは、次のところです。
| 見る場所 | 確認すること |
|---|---|
| 屋根・軒裏 | 屋根材の隙間、ヒビ割れ、雨漏りによるシミの有無 |
| 雨樋 | パイプが外れていないか、樋に落ち葉が詰まっていないか |
| 室内(天井・壁・床) | 雨漏りの跡、カビ、水回りの漏水、壁紙・床材の剥がれや腐食 |
| 通風・換気 | 窓を開けて通風・換気(室内に留まっている腐朽菌を除去するため) |
| 施錠 | 玄関・窓の施錠が確実に行われているか。侵入された跡はないか |
| 庭木・雑草 | 隣地まで枝が伸びていないか、落ち葉や雑草の状況 |
| ポスト・敷地まわり | 不要な広告物の処分、敷地境界を越えてゴミが散乱していないか |
| 設備 | 空調設備・給湯器等の稼働、水漏れの有無。冬季は水道管の凍結対策 |
同ガイドは「特に雨漏りについては、早めの対処が重要です」としています。屋根・軒裏・雨樋も、広島市のガイドが所有者に確認を促している項目です。ただし、点検項目に挙げられていることと、工事が必要かどうかは別です。
最初に一度だけやっておくとよいこと
ガイドは、点検を始める前に次の2つを挙げています。
- 近所への声掛け——隣近所や町内会に家族の状況を伝え、異常があったときに連絡を取り合えるよう、連絡先を交換しておく
- 火災保険の確認——空き家は、定期的に管理していても、人が住んでいる家屋に比べて火災・風災・盗難のリスクが高くなります。いずれ売却・賃貸を考えている場合は、水災・盗難・水漏れなどに対応した保険も検討する
火災保険の考え方は、雨漏りの原因・修理費用と火災保険にまとめています。
「次はいつ見るか」を先に決めておく
点検した日に次回の予定を決めて書き残しておくと、間隔が空きにくくなります。写真を毎回同じ場所・同じ向きで撮っておくと、前回との違いが後から分かります。
点検の進め方の例(以下は説明用の想定です)
例1:同じ条件で記録する——年2回と、大きな台風のあとに確認し、毎回、道路側と裏側から同じ位置で写真を撮ります。前回と比べて雨樋の外れなどに気づいた場合は、外壁への水の流れも記録し、補修が必要か専門家に確認します。
例2:室内の変化から確認する——天井にシミを見つけた場合は、屋根に上がらず写真を残します。侵入経路は屋根以外に外壁やサッシまわりなども考えられるため、葺き替えを前提にせず原因を確認してもらいます。
自分で見る範囲と、任せる範囲はどこで分かれますか?
地上や室内から確認しやすいのは、雨樋の外れ、落ち葉の詰まり、庭木、ポスト、施錠、敷地まわり、室内のシミやカビなどです。これらは異変の手がかりになりますが、原因や劣化の程度まで自己点検だけで判断できるとは限りません。
一方で、次のことは地上からの目視だけで確定することはできません。
- 屋根材の下(下地・防水層)がどうなっているか
- 室内のシミの原因がどこから来ているか——屋根とは限らず、雨樋・外壁・サッシまわり・配管のこともあります
- 建物の構造的な状態
屋根には上がらないでください
空き家は雨仕舞いが傷んでいることがあり、踏んだところが抜けることもあります。足場のない屋根に上がる作業は、専門の装備と経験がないまま行うものではありません。はしごを掛けて確認することも、おすすめしません。
地上から見て気になるところがあれば、その状態のまま写真に撮って、専門家にご相談ください。
行政に確認することもあります。税額や住宅用地特例の適用は市の課税部門、空き家の管理状態についての行政上の扱いは建築を所管する課が窓口です。相談先は記事の最後にまとめました。
「空き家の固定資産税は6倍」はどう読めばよいですか?
空き家になっただけで、固定資産税の総額がただちに6倍になるわけではありません。この言い方は、実際よりも広い意味に受け取られがちです。順に分解します。
そもそも「6倍」は何と何を比べた数字か
住宅の敷地として使われている土地(住宅用地)には、固定資産税の課税標準(税額を計算するもとになる金額)を減額する特例があります。国土交通省の空き家対策特設サイトは、区分をこう示しています。
| 区分 | 固定資産税の課税標準 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 1/6に減額 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 1/3に減額 |
「6倍」は、200㎡以下の部分について、1/6の特例がなくなった場合を指した言い方です。ここから、落ちてしまいがちな点が4つあります。
- 200㎡を超える部分は1/3です。同じようには動きません。
- 都市計画税は別の割合です(地方税法702条の3。小規模住宅用地1/3・住宅用地2/3)。
- 家屋にかかる分は、そもそもこの特例の対象外です。これは土地の課税標準の特例だからです。
- 実際の税額は負担調整の仕組みを経て決まります。課税標準が変わっても、納税額がそのまま同じ倍率で動くとは限りません。
ご自宅の土地でいくらになるかは、市の課税部門にご確認ください。広島市は固定資産が所在する区を担当する市税事務所 土地係・税務室、東広島市は財務部 資産税課 土地係(082-420-0911)です。
住宅用地特例から外れる場面
空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)でいう「空家等」は、一時的に人がいない家ではなく、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物等とその敷地です(2条1項)。
そのうち、適切な管理が行われていないことにより、放置すれば特定空家等になるおそれがあるものを「管理不全空家等」といいます(13条1項)。「特定空家等」は、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態など、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にあると、市町村長が個別に判断するものです(2条2項)。
| 区分 | 市町村長が取り得る措置 |
|---|---|
| 管理不全空家等 | 指導(13条1項)。指導後も改善されず、特定空家等になるおそれが大きいと認められる場合は勧告(13条2項) |
| 特定空家等 | 助言又は指導(22条1項)。改善されない場合は勧告(22条2項)。勧告後、正当な理由なく措置をとらず、特に必要があると認められる場合は命令(22条3項)。命令された措置が履行されない場合などは行政代執行(22条9項) |
- 両者は別の区分であり、管理不全空家等を必ず経由して特定空家等になる仕組みではありません。
- 各段階にそれぞれ別の要件があり、自動的に次へ進むものではありません。
- 特定空家等と判断されただけで、直ちに解体命令や行政代執行になるわけでもありません。22条1項には括弧書きがあり、著しく保安上危険・衛生上有害な状態にない特定空家等については、措置から「建築物の除却を除く」とされています。
住宅用地特例との関係は、条文が名指ししています。地方税法349条の3の2第1項は、13条2項の勧告を受けた管理不全空家等と、22条2項の勧告を受けた特定空家等の敷地を、「住宅用地」の対象から除いています。国土交通省も「指導などに従わず勧告を受けると、その税負担の軽減措置(住宅用地特例)が受けられなくなります」と説明しています。
広島市自身も、公式サイトの「空き家に関するよくある質問」でこう書いています。
A5 「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づく勧告を受けた場合には、固定資産税等の住宅用地の特例(軽減)から除外される場合があります。
——市も「6倍になります」とは書いていません。
固定資産税の賦課期日は毎年1月1日です(地方税法359条)。勧告を受けたその日に納税額が切り替わる、という意味ではありません。どの年度から、いくら変わるかは市の課税部門にご確認ください。
勧告だけが住宅用地の判定基準ではありません
1月1日に人が住んでいなくても、構造上住宅と認められれば、それだけで住宅用地から外れるわけではありません。一方、居住に必要な管理を怠り、今後も住宅として使われる見込みがないと認められる場合などは、空家法の勧告とは別に、市区町村の課税部門が住宅に該当するかを判断します(総務省 平成9年4月1日付け自治固第13号)。
税と、建物の状態は別の問題です
行政上の手続きが進んでいないことは、建物の状態が確認済みであることを意味しません。
民法717条は、建物などの設置・保存に瑕疵があり、それによって他人に損害が生じた場合の責任を定めています。責任の有無や、誰が占有者に当たるかは、瑕疵、因果関係、実際の管理状況などから個別に判断されます。
なお、空家法5条は所有者等に適切な管理と施策への協力を「努めなければならない」と定めた努力義務です。
税や行政上の区分とは分けて、建物の変化を記録し、修繕・活用・売却・解体の選択肢を検討できるようにしておくこと。これが、点検を続ける目的です。
気になるところが見つかったら
点検で気になるところが出てきたときは、当面保有する・使う(貸す・売る)・解体するを分けて考えると整理しやすくなります。どれが正解かは、建物の状態とご家族の予定によって変わります。
| 今後の方針 | まず考えること | 確認先・関連記事 |
|---|---|---|
| 当面保有する | 雨漏りなど、傷みが進む原因を確認し、必要な範囲の修繕と点検を続ける | 雨漏りの原因・修理費用と火災保険 / 瓦屋根の葺き替え費用・流れ・工期 / カバー工法と葺き替えの判断基準 |
| 使う・貸す・売る | 用途と時期を決めてから、必要な改修範囲と、税・契約上の条件を確認する | 耐震改修の費用・工法別相場 / 相続した空き家を売るときの税金(貸すと3,000万円特別控除の要件から外れます) |
| 解体する | 費用、共有者等の同意、住宅用地特例、自治体の補助要件を契約前に確認する | 原則として、翌年1月1日の時点で住宅の敷地でなければ住宅用地特例の対象外になります。課税年度は市の課税部門へ |
| まだ決められない | 期限のあるもの(相続登記・売却の特例)と、そうでないものを分ける | 住まいの総合相談 |
解体を選ぶ場合の補助制度(2026年9月時点)
広島市・東広島市には、老朽化した空き家の解体費用の一部を補助する制度があります。要件・金額・受付状況は年度ごとに変わりますので、必ず公式ページと窓口でご確認ください。
| 広島市 老朽危険空家等除却補助制度 | 東広島市 空家対策事業費補助金(解体) | |
|---|---|---|
| 対象者 | 所有者。共有者がいる場合は他の所有者全員、所有権以外の権利者がいる場合はその権利者全員の除却同意が必要 | 所有者 / 法定相続人 / 所有者から同意を得た者 |
| 主な要件 | 広島市内の戸建住宅(長屋、店舗等併用住宅を含む)で、別表「老朽危険空家等の評価」が100点以上、かつ道路への近接要件(平屋・2階建ては道路まで3m未満、3階建て以上は6m未満)を満たすもの | 1年以上空き家であるもの。事前に市職員による現地調査 |
| 補助額 | 「除却工事費の1/3」と「標準除却費(木造36,000円/非木造51,000円)×延べ面積×8/10」の低い方(上限50万円) | 解体工事費+廃棄物処分費の1/3(上限50万円) |
| 窓口 | 都市整備局指導部 建築指導課(082-504-2288) | 建設部 住宅課(082-420-0946) |
契約の前に、市へ確認してください
両市とも、補助金の交付決定前に工事契約をすると対象外です。広島市は交付決定前の契約を対象外とし、交付決定後の着手を求めています。東広島市は交付決定前の契約・発注を対象外と明記しています。見積りを取る段階と、契約する段階を分けて、契約前に各市の窓口へご確認ください。
また広島市では、空家法22条3項の措置命令の対象となった建物の除却工事は、この補助制度の対象外です。指導や勧告を受けただけで、この要件により直ちに対象外になるわけではありません。実際の対象可否は、工事契約の前に建築指導課へご確認ください。
東広島市の「リフォーム補助」の対象者にご注意ください
東広島市には空き家のリフォーム補助もありますが、対象は「東広島市空き家バンク等で空き家を購入または賃借し、自ら居住する人」です(空き家バンクの利用者登録が必要で、改修する空き家に3年以上居住することが求められます)。
相続などで従来から所有している空き家を、そのまま保有しながら直すための制度ではありません。
共有名義の場合、行為によって必要な同意が変わります
広島市の「空き家のガイド」は、修繕などの保存行為は各共有者が単独で実施でき、改修工事などの管理行為は共有者の持分の価格に従い、その過半数で決める(民法252条1項)、解体・売却・3年を超える賃貸・大規模な改修工事等の処分行為は全員の同意が必要、と整理しています。
ただし、同じ「改修」でも工事内容や規模によって評価が変わりえます。行為の区分や共有者間の判断については弁護士、相続登記については司法書士へご確認ください。前提として、相続登記は2024年4月1日から申請が義務化されています(→ 相続した実家が空き家に)。
自分で管理を続けるのが難しいときは
広島市の「空き家のガイド」は、定期的な自己管理が難しい所有者向けに、空き家の管理サービスを提供する会社があると案内しています。「月1回外からできる点検を行う場合は5,000円/月程度から」とされており、目視での建物点検、郵便受けの整理、ゴミの不法投棄の有無の確認、敷地内庭木確認、通気・換気・通水、雨漏り点検などが挙げられています。
また広島市では、植木の剪定・除草の管理サービスを利用する場合に「ふるさと納税制度」を活用し、返礼品として寄付額に応じた値引きを受けられる仕組みがあります。
インハートは月額の空き家管理サービスを行っていません
お引き受けしているのは、現地調査から施工管理までの改修工事(屋根の葺き替え・耐震改修など)と、その前段のご相談です。定期巡回の管理代行は商品として持っていません。
定期的な見回りをお探しの場合は、上記のような管理サービスや、次にご案内する「ひろしま空き家の窓口」でご相談ください。私たちに頼む必要はありません。
どこに相談すればよいですか?
内容によって窓口が分かれます。まず公的な窓口をご案内します。
| 相談したいこと | 窓口 |
|---|---|
| 空き家の売却・賃貸・管理・解体に関する無料相談 | 「ひろしま空き家の窓口」——広島県、県内の全市町、不動産関係団体で構成する広島県空き家対策推進協議会が平成26年7月に設置。不動産取引等に精通した専門スタッフが対応 |
| 適正に管理されていない空き家について(自分の空き家・近所の空き家とも) | 広島市:各区役所の建築課、市役所の建築指導課(082-504-2288)<br>東広島市:建設部 住宅課(082-420-0946) |
| 土地・家屋の税額、住宅用地特例の適用 | 広島市:固定資産が所在する区を担当する市税事務所 土地係・税務室<br>東広島市:財務部 資産税課 土地係(082-420-0911) |
| 相続・登記・境界などの法律問題 | 弁護士・司法書士など。広島市は民事相談・法律相談の窓口も案内しています |
| 解体業者を探す | 500万円未満の解体工事を請け負う登録業者は、広島県の「広島県知事登録の解体工事業者一覧」で確認できます(建設リサイクル法21条1項の登録。建設業法上、許可が不要な軽微な建設工事は請負代金が500万円に満たないものです)。500万円以上の工事には、原則として土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可が必要で、許可業者は解体工事業の登録が不要です。登録業者一覧だけで候補を網羅できるわけではありません |
なお、2023年の空家法改正で市町村長が指定できるようになった「空家等管理活用支援法人」(23条)について、広島市は市の方針が定められるまでの間、指定を行わないとしています(2026年9月2日確認)。広島市内では、上の表の窓口をご利用ください。
屋根の葺き替えや耐震改修を選択肢として検討する段階になったら、現地調査から施工管理までご相談いただけます。
「点検で気になるところが出てきたが、急ぐ話なのか分からない」という段階で構いません。見たうえで急ぐ必要がなければ、その旨をお伝えします。他社さんのお見積りに対するセカンドオピニオンでも結構です。ご相談後に工事をご依頼いただかない判断でも差し支えありません。
広島市・東広島市で承っています。電話 050-1725-9907(平日9-18/土9-17/日祝休)/ お問い合わせフォーム / LINE公式(@737kqotf)
空き家の管理について確認したいQ&A
Q. 空き家の点検は、どのくらいの間隔で行えばよいですか?
A. 広島市の「空き家のガイド」は、簡単にできる点検とお手入れはこまめに、半年〜1年に一度はしっかりとした点検を行うことを案内しています。あわせて、大雨や台風、地震のあとは必ず点検するようすすめています。次回の予定を、点検した日に決めておくと間隔が空きにくくなります。
Q. 屋根の状態は、自分で上がって確認してもよいですか?
A. おすすめしません。空き家は雨仕舞いが傷んでいることがあり、足場のない屋根に上がる作業は専門の装備と経験が必要です。地上からと室内から確認し、気になるところは写真に撮って専門家にご相談ください。なお、屋根材の下や雨漏りの侵入経路は、地上からの目視だけで確定することはできません。
Q. 住宅用地特例が適用されるか、どこに確認すればよいですか?
A. 広島市は固定資産が所在する区を担当する市税事務所 土地係・税務室、東広島市は財務部 資産税課 土地係(082-420-0911)です。固定資産税の賦課期日は毎年1月1日ですので、適用される年度と実際の税額は、個別にご確認ください。
Q. 行政から何も言われていなければ、当面そのままでも問題ありませんか?
A. 行政の手続きが進んでいないことと、建物の安全性が確認済みであることは別です。事故が起きたときの責任は民法717条により、設置・保存の瑕疵の有無などから個別に判断され、行政の手続きとは関係なく問題になりえます。点検を続ける理由は、税や行政手続きよりも、こちらにあります。
Q. 兄弟の共有名義ですが、私だけで修理を頼めますか?
A. 広島市のガイドでは、修繕などの保存行為は各共有者が単独で実施できるとされています。一方、改修工事などの管理行為は共有者の持分の価格に従いその過半数で決め(民法252条1項)、解体・売却・3年を超える賃貸・大規模な改修工事等の処分行為は全員の同意が必要とされています。ただし同じ「改修」でも工事内容や規模によって評価が変わりえますので、行為の区分については弁護士、相続登記については司法書士へご確認ください。
まとめ
- 当面持ち続けると決めたら、「誰が見るか」「どこを見るか」「次はいつ見るか」を決めておくと管理が続きます。
- 広島市のガイドは半年〜1年に一度のしっかりした点検と、大雨・台風・地震のあとの点検を案内しています。
- 屋根には上がらないでください。地上からと室内から、雨樋の外れや室内のシミなど、異変の手がかりを確認できます。
- 固定資産税は、空き家になっただけで総税額が一律に同じ倍率へ変わるものではありません。住宅用地特例の適用年度と税額は、市の課税部門へご確認ください。
- 管理不全空家等(13条)と特定空家等(22条)は別の区分で、各段階に別の要件があります。特定空家等と判断されただけで直ちに解体命令になるわけではありません(22条1項括弧書き)。
- 行政から何も言われていないことは、建物の状態が確認済みであることを意味しません。責任は民法717条により個別に判断されます。
- 自分で管理できないときは、民間の管理サービスや「ひろしま空き家の窓口」があります。気になるところが見つかったときに、改修のご相談をお受けしています。
出典(2026年9月2日 時点で確認)
- 広島市空き家のガイド(令和8年3月) — 点検項目、点検の間隔、管理サービスの相場、共有名義の同意区分
- 広島市 空き家に関するよくある質問 — Q5(勧告・命令を受けるとどうなるか)
- 広島市 空き家の相談窓口 / 広島市老朽危険空家等除却補助制度 / 空家等管理活用支援法人の指定 / 問合せ先(固定資産税・都市計画税)
- 東広島市 老朽化した空き家を解体する / 空き家をリフォームする / 土地に対する課税の仕組み
- 国土交通省 空き家対策 特設サイト「空家法とは」 — 住宅用地特例の区分(1/6・1/3)
- 空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号) 2条・5条・13条・22条・23条・30条 — e-Gov法令検索
- 地方税法(昭和25年法律第226号) 349条の3の2・702条の3・359条 / 民法(明治29年法律第89号) 717条 — e-Gov法令検索
- 総務省(旧自治省)「地方税法第349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」(平成9年4月1日付け自治固第13号)
この記事は一般的な情報の整理です。個別の税額は市の課税部門、法律問題は弁護士・司法書士、行政上の判断は所管の窓口へご確認ください。建物の状態については、有資格者による現地確認をおすすめします。
著者・運営者情報
綾野 利郎(合同会社インハート 代表) 二級建築士・二級施工管理技士。広島市・東広島市で、旧耐震木造住宅の瓦→板金屋根への葺き替えによる耐震改修と、住宅用太陽光発電を手がける。現地調査から施工管理まで有資格者が一貫して担当し、「売り込まない専門家」として住まいの相談に対応している。

